1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/17(日) 23:55:19.71 ID:YhkjDYuB0
2552/07/24
地球
乱暴な運転が、眠っていた私を揺り起こした。
一瞬、意識が過去に飛び、自分がここにいる理由を見失う。
動揺を抑え、外を見ると、擦れた記憶がチリチリと音を立てた。
あの頃とは何もかもが違って見える。
より鮮明に、より詳細に。
当然と言えば、当然だった。
私は変わってしまったのだから。
別人といって差し支えないほどに。
IM@S×Halo:Reach
Chapter1 千早「ノーブルチーム……?」
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2013/02/18(月) 00:00:59.78 ID:onRvhrVu0
同日 765プロ
時代遅れのロゴが、あの頃と変わらず、大雑把に自己を主張している。
私をここまで送ってくれた運転手は、私を下ろすとそのままどこかへ消えた。
だから、私は今一人。
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2013/02/18(月) 00:03:49.98 ID:onRvhrVu0
扉の向こうには、多くの人影があった。
「中継ステーションの一つとの交信が途絶えてしまってね」
向かいには、黙々とシャベルの手入れをする少女。
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2013/02/18(月) 00:06:12.55 ID:onRvhrVu0
「それで我々を?」
「上層部は貴重な君たち≠送り込むほどの事態ではないと考えているようだが、私は違う」
彼らの注意をひこうと、室内にもう一歩踏み込もうとすると、左から伸びてきた手が私の行く手を遮った。
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2013/02/18(月) 00:08:24.41 ID:onRvhrVu0
代わり、隣に立つ銀色の少女が私を見た。
「まぁ……あなたが新しい『しっくす』なのですね」
穏やかな、しかし、はっきりとした声が耳朶を打つ。
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2013/02/18(月) 00:09:59.26 ID:onRvhrVu0
「何者の仕業です?」
律子たちの会話に全く興味をしめさず、プロデューサーはホログラムの向こうの人物に問いかけた。
「情報部は現地の『AI派』と見ている。五ヶ月前にも他の中継ステーションが襲われ、大きな被害が出ている」
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2013/02/18(月) 00:11:31.56 ID:onRvhrVu0
「良く来た」
通信が終わると同時に、プロデューサーがこちらを向く。
私は彼の前に一歩踏み出した。
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2013/02/18(月) 00:15:15.71 ID:onRvhrVu0
「メンバーの律子、雪歩、貴音だ。……とはいっても、紹介するまでもないか」
プロデューサーが頭をかく。
眉間から皺が消え、本当の彼がちらりと見える。
ノーブルチームのリーダーではなかったころの、ただの一プロデューサーだった頃の彼。
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2013/02/18(月) 00:18:37.86 ID:onRvhrVu0
「呼ばれた事情はわかっているな」
律子、雪歩、四条さんの三人が階段を降りていくのを横目に、プロデューサーと私は階段を登っていく。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/18(月) 00:20:33.46 ID:onRvhrVu0
「……優秀なアイドルになったな」
注意を少女に向けていた私は、プロデューサーの一言を聞き取ることができなかった。
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2013/02/18(月) 00:21:59.71 ID:onRvhrVu0
同日 中継ステーション
鉛色の建物のそばへ、ヘリが下降し、しかし着陸はせず、土ぼこりを巻き上げつつ静止する。
「亜美は空から見張りを頼む」
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2013/02/18(月) 00:22:59.41 ID:onRvhrVu0
中継ステーションはお世辞にも、綺麗とは言えない外見をしている。
外装はところどころ剥げ、ドアが歪み、風に吹かれて周期的な軋みをあげる様相は端から見れば廃墟同然だった。
人の気配は無く、ヘリが離れていくと、不気味なほどの静けさがのしかかってきた。
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2013/02/18(月) 00:24:10.79 ID:onRvhrVu0
「…………」
何も無い。不審な点はどこにもなく、全てが正常、自然であるように見える。
しかし、何故か、違和感が拭えない。
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/18(月) 00:24:57.83 ID:onRvhrVu0
「雪歩は亜美と協力して、周囲の捜索を頼む」
「は、はいぃ」
「他のメンバーで内部を捜索する。目的は、中継ステーションの機能復旧と行方不明のファイアチームの捜索」
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2013/02/18(月) 00:26:21.39 ID:onRvhrVu0
薄汚れた外観とは対照的に、内部は、既存のアイドルを支持する水瀬財閥の力が垣間見え、最先端の技術を用いて作られていた。
襲撃の形跡は特に見られず、綺麗なままだ。
しかし現状、それがかえって、チームの緊張を高めていた。
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2013/02/18(月) 00:27:28.99 ID:onRvhrVu0
緊張の一瞬。永遠にも等しい一瞬の後、プロデューサーは引き金を引く代わりに、静かに言った。
「生存者を一名発見」
皆、無意識に安堵のため息を吐く。
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2013/02/18(月) 00:28:25.01 ID:onRvhrVu0
「話の通じそうな雰囲気を見るに、あんたら敵じゃないな」
「ノーブルチームだ。ステーションの機能復旧と、行方不明のファイアチームの捜索のために来た」
「なら、その任務の片方は達成されたな。俺がそのファイアチーム、その最後の生き残りだ」
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2013/02/18(月) 00:29:03.86 ID:onRvhrVu0
図面によれば、この先が、電波の中継の管理を行う中継ステーションの機能の中枢だ。
生存者がいるとすれば、最も可能性が高い場所だったが、男の口調から察するにすでに全滅しているとみて間違いないだろう。
「先頭を歩いている奴が急に止まったんだ。あんまり黙ってるものだから、ちょっと肩をどついてやったのさ」
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/18(月) 00:30:06.73 ID:onRvhrVu0
「あんたらが来てくれて助かったよ」
「自分一人で逃げ出して、大した情報はなし。いい気なものね」
律子が明らかな皮肉を込めて呟く。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/18(月) 00:34:11.53 ID:onRvhrVu0
一瞬。
私は律子の理性が何とか拳を解いたのを私は見た。
「おいおい、この先に行こうってのか? 俺はどうなる!」
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/02/18(月) 00:34:39.16 ID:onRvhrVu0
「じ、冗談じゃねぇ! 敵については何も分かっちゃいないんだ! 姿を消して、俺が一人になったときを狙っているかもしれねぇんだぞ!」
打って変わって、怒鳴り散らす男に律子が静かに頭を振った。
「なら、俺たちと行動を共にするのがベストな選択だと思うが……」
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