144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:11:36.10 ID:7LnCOhGJ0
真は、屋上の手すりをギュッと握り締めた。
プロデューサーが倒れた原因は、一言で言えば過労だろうとのことだった。
律子は、彼が抱えていた業務の処理に追われたが、その量の多さに驚いていた。
なぜ自分に振ってくれなかったのか、とも言っていた。
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2013/03/24(日) 02:12:22.35 ID:7LnCOhGJ0
「何泣いてんのよ」
驚いて真が振り返ると、伊織が立っていた。
月明かりに照らされた茶色の長髪を棚引かせ、腕にはウサギのぬいぐるみを抱きかかえている。
「見ないでよ」
146:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:14:16.18 ID:7LnCOhGJ0
「何で泣いてたか、って聞かないの?」
真は、伊織に聞いた。
「別にいいわ―――何となく分かるし」
伊織は、月明かりに照らされた遠くのビル郡を眺めながら答えた。
147:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:15:41.10 ID:7LnCOhGJ0
ある日の早朝、律子は欠伸をしながら事務所の階段を上っていた。
プロデューサーが倒れてからというもの、当然彼女の負担も増えた。
業務を処理する時間を捻出するには、今のところ睡眠時間を削るしかない。
営業をする必要さえ無ければ、ノーメイクで出社できるのに―――。
148:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:17:09.65 ID:7LnCOhGJ0
茶色のショートカットで、身長は自分と同じ――いや、少し高いくらいか。
不思議に思っていると、やがて少女もこちらの存在に気づき、向き直った。
「―――おはようございます、律子さん」
少女は、両手を体の前に置き、丁寧にお辞儀した。
149:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:18:20.33 ID:7LnCOhGJ0
「いつもは、律子さんが事務所の鍵を開けるの?」
美希の問いかけに、律子は部屋の電気と暖房を付けながら答える。
「この前までは、小鳥さんに任せていたんだけどね。
最近は私も色々やる事あるから、小鳥さんより早めに出社することも多いのよ」
150:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:20:06.83 ID:7LnCOhGJ0
「その前に―――聞いて、律子さん」
先ほどより少し低いトーンの声が、律子の後ろから聞こえた。
不思議に思った律子が振り返ると、いつになく真剣な眼差しをした美希が立っている。
そういえば、律子は、先ほどから美希が自分を呼び捨てしていない事に気がついた。
151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/03/24(日) 02:20:14.10 ID:1jmKxVg5o
覚醒美希きたか!
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:21:32.84 ID:7LnCOhGJ0
その後、事務所に集まった皆に対し、改めて美希は頭を下げた。
今まで自分勝手な事をして皆を困らせただけでなく、雪歩の前で皆の悪口を言った事も包み隠さず打ち明けた。
それまでのイメージとは違う、あまりにも真摯な彼女の姿勢に、皆は驚きを隠せなかった。
「詫び言を述べるというのなら、むしろ私達の方でしょう」
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:23:14.51 ID:7LnCOhGJ0
「でも、雪歩さんは――」
やよいがボソッと残念そうに呟いたことで、皆から再び笑顔が消えてしまった。
「やよい、あんた何も今そんな事言わなくても――」
「はわっ、ご、ごめんなさい伊織ちゃん。わたし――!」
154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/03/24(日) 02:25:04.93 ID:7LnCOhGJ0
「あらあら、美希ちゃんのおかげですっかり皆に火がついちゃったわねぇ〜」
右頬に手を当て、あずさはニコニコしながら皆が盛り上がるのを見つめた。
隣にいる千早も、穏やかに笑っている。
「何だか、美希が戻ってくるのが怖いと言っていた自分が馬鹿みたいです」
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