1: ◆NjxgjHQk0f5G[saga]
2013/04/02(火) 01:49:19.96 ID:DjLuhO3Wo
〜〜〜
「はぁ……ひかりーたこ焼きちょうだーい」
ジャージ姿で椅子に座り大きなスポーツバッグをどさりと足元に置くと、
日向咲はそう声をかけた。
「どうしたの?なにか悩んでる?」
エプロンを身につけた長い髪の女性が、
とりあえずというようにジュースをいれて咲に近づいた。
「なんかさ……つまらないなぁって。
はぁ、絶不調なりぃ……」
大学を出てもうすぐ社会人二年目になろうとしている咲は、最近沈みがちだ。
口癖は出会った頃の中学生時と変わらずいるが、中身はだいぶ変わった。
「……舞とはまだ連絡とってないの?」
その原因の一端には、間違いなくその人物がいると、
店主である九条ひかりは確信している。
「……舞なんて、もう知らない」
「……なぎささんやほのかさんでも呼ぶ?」
二人の間に何があったのかは知らない。
友人として何かしてやりたいが何ができるのかもわからない。
だから、ひかりはこんな時なんとかしてくれそうな人たちを呼んだほうがいいのかもしれないと思った。
「いや、いい。ひかりがいたらそれでいいや」
ジュースを一口飲むと、咲はぼんやりとそういった。
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2: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:50:22.23 ID:DjLuhO3Wo
「あら、じゃあ私はお邪魔かしら?」
何時の間にか二人の背後に立っていたのか、赤い髪の鋭い感じの女性がそこには立っていた。
3: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:50:58.49 ID:DjLuhO3Wo
「えっ!満、パンパカパンやめちゃうの?」
パンパカパンというのは、咲の実家のパン屋さんだ。
満は高校を出ると大学には進学せずに、フランスへ修行に行った。
4: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:51:29.33 ID:DjLuhO3Wo
「でも未だになぎささんやほのかさんには敬語だよ?
普通先輩だからと言っても十年も付き合いあったらもっと砕けない?」
「ふたりは特別なの!あのふたりが、私を人間にしてくれた、私を成長させてくれた。
5: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:52:20.67 ID:DjLuhO3Wo
からかうように笑う咲と、赤くなりうつむいてしまったなぎさ。
そんな二人を見てため息をつくと、
「……付き合ってらんないわ。
6: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:53:41.59 ID:DjLuhO3Wo
〜〜〜
一人の黒髪の女性がもくもくとキャンバスに向かっている。
キャンバスに描いているのは大木だ。
7: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:54:10.43 ID:DjLuhO3Wo
「私は趣味で描いてるだけだからいいのよ。
仕事にするならこういう風に絵をみたり売ったりするほうが向いてるの」
それよりも、と薫は軽く舞を睨みつける。
8: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:56:32.18 ID:DjLuhO3Wo
〜〜〜
「あ、ねぇねぇほのか。咲と舞ってなんで喧嘩してるの?」
9: ◆GorJQ6qPNeO8[saga]
2013/04/02(火) 01:57:46.50 ID:DjLuhO3Wo
「ちなみに、ほのかには言っとくけど省吾さんには『全部の中で一番になれないのはわかってる。
だから男の中で一番俺のことを好きなら付き合ってくれ』って言われた。
でも、そんなの悪いじゃん?
だから、いつかほのかよりも省吾さんを好きになった時、返事をしますって答えといた」
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