426:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:00:19.04 ID:gz5u5IpNo
そのことはちょっとした学級問題にもなった。
たとえ自分が変に思ったことでも、一生懸命にやっている人を笑うのはやめましょう、と先生はみんなに言った。
もちろん、その理屈の方がよっぽど変だった。
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2013/06/13(木) 07:01:30.94 ID:gz5u5IpNo
いつも。ずっと。昔から。いつだって、わたしはわたしなりにまともになろうと思っていた。
そのための努力だって必死にしてきたつもりだった。
母がわたしを不快に思うのは、わたしが不快なことをしているからだと思った。
428:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:01:57.48 ID:gz5u5IpNo
わたしが走ると、先生は満足そうに笑った。それを聞いて母はほっとした。
クラスメイトたちはわたしを笑っていた。
何も変わらなかった。
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2013/06/13(木) 07:02:42.37 ID:gz5u5IpNo
書庫に這い出るとき、埃のせいで咳が出た。
泥だらけのレインコートをその場で脱ぎ捨てる。
走ることが嫌になるよりも、ずっと前、あなたはどうしてそんなに醜いの? と母はわたしに訊ねた。
430:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:03:14.58 ID:gz5u5IpNo
髪型が悪いのかもしれない。骨格が理由なのかもしれない。
体型かもしれないし、顔つきかもしれない。
何がそう見せるかは知らない。でも、醜いから、母はわたしを嫌う。
431:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:04:35.01 ID:gz5u5IpNo
書庫から階段を駆け上がり屋敷の一階に出た。
地下から出ると、途端に外の明るさが目に突き刺さった。
廊下の窓から、シラユキが傘をさして中庭に立っているのが見えた。
432:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:05:08.03 ID:gz5u5IpNo
シラユキは悲しそうな顔をした。もう泣き出してしまいそうな顔。
今まで彼女は、何度こんな顔をしただろう。何度彼女にこんな顔をさせてきたんだろう。
「どうしたら……」
433:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:05:47.04 ID:gz5u5IpNo
「もう決めたの」
とわたしは言った。シラユキは混乱した表情でこちらを見る。
話している時間が惜しくなって、わたしは駆け出した。
434:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:06:54.65 ID:gz5u5IpNo
わたしは少し笑う。そして、これがわたしだ、と思った。しっかりと見ろ、これがわたしだ。
手足は細い。運動をほとんどしなかったせいだろう。この世界でもそうだし、現実でもそうだった。
外に出て遊ぶことが少なかったから、肌だって真っ白だ。
435:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/13(木) 07:07:40.85 ID:gz5u5IpNo
つづく
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