5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:16:49.37 ID:epGhJc5fo
仕事を滞りなく終えた帰り道のことだった。
「少し、寄り道がしたいです」
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2013/06/18(火) 00:17:29.18 ID:epGhJc5fo
夕焼けで赤く染まる公園に、人影は見られなかった。プロデューサーは自販機で缶コーヒーとアイスココアを買い、ココアをまゆに渡す。
銀色の缶を丁寧に受け取ると、満面の笑みで嬉しそうに返事をする。変装用の伊達メガネは、むしろ妖艶さを際だたせているようだと、プロデューサーは思った。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:19:00.20 ID:epGhJc5fo
まゆとプロデューサーは、暗くなりつつある公園の中を歩く。
春が終われば夏が近づき、暖かい風が二人にそっと吹き寄せる。
あまり広くはない公園を丁度一回りしようという辺りだった。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:20:01.75 ID:epGhJc5fo
「よかったら、一緒に乗りませんか?」
「……いや、体重差もあるから、流石に無理だろう」
「……そうですよねぇ」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:21:39.72 ID:epGhJc5fo
「わ、わっ」
人に押してもらうだけで、ブランコの動きは随分と変わるものだった。
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:22:27.06 ID:epGhJc5fo
すっかり暗くなった公園で、依然として二人きり。
目の前の街灯につられた蛾が、はたはたと明かりのそばで飛ぶ。
遠くで車が地面を低く鳴らしている。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:23:56.23 ID:epGhJc5fo
「えっ、あっ」
まゆの静かな言葉に、プロデューサーは反射的に返事にもならない声をこぼす。
同時に手から写真が落ち、ひらひらとまゆの足下に着地した。
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:25:16.97 ID:epGhJc5fo
「プロデューサーさんにも迷惑がかかって、大変ですからねぇ」
写真を真一文字に破る。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:26:14.03 ID:epGhJc5fo
プロデューサーはその様子を見て唾を飲み込んだ。乾いた口の中で歯を噛みしめ、できる限り落ち着き払って言う。
「俺は、まゆに、迷惑をかけるようなことをして欲しくないと、言ったはず……」
「してませんよぉ」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/18(火) 00:28:20.53 ID:epGhJc5fo
「『プロデューサーさんは、もう私のものだから』って、とても嬉しそうに、楽しそうに、誇らしげに、幸せそうに……」
「わかった、もういい!」
自ずと語気が荒くなる。そんなプロデューサーを、まゆはじっと見つめる。
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