84: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:14:56.58 ID:vaqxWu9A0
  
 腕章「残り7人」 
  
  あたしは呟いた。開始二日でもう三人が死ぬなんて、予想以上にペースが速い。まぁけしかけたのはあたしなんだけど、やっぱりちょっとは罪悪感もあるかな。 
  この能力さえあれば情報戦はいくらでも制することができる。そして情報さえあれば、いくらでも金は手に入るし、武器だってほらこの通り。本物の猟銃だよ? 
85: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:16:34.97 ID:vaqxWu9A0
  
  あいつらを観察しているとどうしたってあたしの頭も痛くなる。ハチャメチャは嫌いじゃないけど、あいつらはハチャメチャすぎる。やりたい放題は無節操で嫌いだ。情報が錯そうして整理の余地もない。 
  そう、情報。私にとってはそれが全てで、世界にとってもそれが全て。 
  
  情報を制する者は世界を制する。つまり、あたしが世界を制するというこの完璧な論法。 
86: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:17:19.90 ID:vaqxWu9A0
  
  そうして学校まで走って、辿り着いた時には昼食時間に差し掛かっていた。仕方がない。数学のノートを誰かに見せてもらおう。 
  肩をぐるりと回した。ふぅ、これで少しはリラックスできる。 
  
  能力者の気配も1つだけになったことだし。 
87: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:18:19.68 ID:vaqxWu9A0
  
  少しだけ肌にピリピリしたものを感じながら、こっそりと校内へと入っていく。保健室の扉を開け、「すいません、頭痛いんですけど」。 
  
  熱を測らされる。当然あるわけないけど指示には従わないと。ソファに腰かけながら、僅かに思索を巡らせた。 
  
88: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:18:45.78 ID:vaqxWu9A0
 ――――――――――――――――――――― 
  
  六時間目の終了を投げるチャイムが響いた。歴史の教師は板書を辞め、教科書を一瞥してから「次回はこの続きからやるぞ」とだけ言って、鷹揚に教室を後にする。 
  
 友人「体調大丈夫?」 
89: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:19:38.95 ID:vaqxWu9A0
  チョップが一発。ぐえ、と大袈裟に声を出してやった。 
  周囲の男子生徒が聞き耳を立てている。うーん、やっぱり気になるものなのかな? 男の子としては、おっぱいとかは。 
  
  話を切り替えるために咳払いを一つ。 
  
90: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:20:58.57 ID:vaqxWu9A0
  
  プライバシーなど存在しない。 
  
  隔てるものなど介在しない。 
  
91: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:21:50.70 ID:vaqxWu9A0
  
  そうこうしてから約十分後に全員が席へと着いた。ずらりと十五人。全員がそれなりにきちっとした表情をしている。 
  それもそのはず。生徒会と各部の部長が集まるこの部長会、今回の議題は各部活の活動予算についての異議申し立てだからだ。 
  
  先週活動予算が生徒会会計の手から配られ、実績、活動内容、部員数に応じて増減した数値が行き渡っている。我が新聞部は横ばいだったけれど、野球部はそれなりの額が減らされていて、反対に吹奏楽部は増えている。 
92: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:22:46.64 ID:vaqxWu9A0
  
 会計「実績がありませんから。以上です」 
  
  一刀両断だった。快刀乱麻だった。まさにすっぱりと、一秒の思考の時間すらなく、会計は主将を睨みつける……いや、単に一瞥しただけかも。 
  主将は一瞬だけ激昂の様子を見せたが、流石に自制した。大きく深呼吸をして、尋ねる。 
93: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2013/09/11(水) 22:24:17.38 ID:vaqxWu9A0
  
  実績を出せと言い続けるだけでいいのだ、あちらは。ぐうの音も出ない。野球部が五年連続一回戦で負けているのは事実なのだから。 
  
 会長「『時は金なり』」 
  
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