過去ログ - 後輩「わたしは、待ってるんですからね」
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569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:41:54.42 ID:OhIxdLvyo

 腕が自分の腕じゃないみたいに簡単に動いた。
 今まで俺の体を何かが縛り付けていて、それが一気に解き放たれたみたいな気分。

 よく分からない昂揚感。ほとんど暴走するような感覚。
以下略



570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:42:20.49 ID:OhIxdLvyo

 俺は書きあげた文章をもう一度読み返す。別に悪くない。
 でも、そのノートの前のページには、まだ部屋の中から出ることのできていない「彼女」の姿があった。

 俺の書く文章は、いつだって「彼女」のためにあるべきなのだ。
以下略



571:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:43:14.61 ID:OhIxdLvyo

 溜め息が出た。それから額を抑えて考える。
 
 そうなんだよな、と俺は一人で頷いた。
 いつかは書き上げなきゃいけないんだ。だって俺はもう書き始めているんだから。
以下略



572:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:43:40.64 ID:OhIxdLvyo

 俺は今日も自己完結的で排斥的だった。
 みんな俺のドアをいつものようにノックした。ある者は激しく、ある者はささやかに。
 俺はそれらをひとつひとつ丁寧に断っていった。

以下略



573:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:44:14.89 ID:OhIxdLvyo

「ああ」
 
「なに? 元気ないなあ」

以下略



574:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:44:41.11 ID:OhIxdLvyo

「娘がそっちで迷惑かけなかった?」

「俺は何もしてないから」

以下略



575:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:45:07.81 ID:OhIxdLvyo

「声が暗い気がするけど、なにかあった?」

「え?」

以下略



576:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:45:34.34 ID:OhIxdLvyo

「余計なことは考えないでいいから、とにかくわたしの言う通りにしなさい」

 叔母の声音は真剣なものに変わっていた。

以下略



577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:46:05.98 ID:OhIxdLvyo

 叔母は溜め息をついて、沈黙を置いた。俺には居心地のいい沈黙だった。
 けれど不意に、何かの話し声と、がさごそという物音が電話口から聞こえた。

「……あ」
以下略



578:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/10/02(水) 18:46:34.01 ID:OhIxdLvyo

「わたし? わたしは、べつに、普通かな」

「普通?」

以下略



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