過去ログ - 食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」 その3
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乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:05:44.74 ID:uDSMsl330
硝煙立ち込める中、今しも走行中の装甲車の屋根に片膝をついた美琴が、ゆっくりと手を振り上げる。
すると、地面に横たわっていたいくつかの傘の残骸が浮かび上がり、先行している装甲車を追い始めた。
十本ほどの骨組みが車両に追いつき、まるで美琴を守るように寄り集まる。
かと思うと、強力な磁力を受けて蛸足のようにくねり出した。
以下略
374
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:10:58.54 ID:uDSMsl330
右手を直進する戦車に接近したのを見計らい、美琴が標的に向かって迅速に腕を振るった。
水平方向に撃ち出された槍が唸りを上げて戦車の左側の履帯上部に命中。
そのほとんどが弾き返されたが、それでも一本が連結部品の隙間に突き刺さった。
いかに分厚い装甲を纏っていようと部分的に脆い部分は存在する。
美琴がその一点に向けて、間断なく電撃の槍を放った。
以下略
375
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乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:20:37.36 ID:uDSMsl330
美琴が黄泉川の飄然とした顔を見返した。
自分が作戦を告げたときと同じ顔だった。
本心は決して穏やかじゃないはずだ。
時間をかけたらかけただけ、自分や隊員が命を失うリスクが増すのだから。
以下略
376
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:27:45.94 ID:uDSMsl330
たとえ無限に製造できても、18万円で作り出せるのだとしても。
美琴の目から見て、殺された彼女たちは、しかし確固とした意志を持つ人間だった。
だからこそ、行きすぎた権力の乱用を戒め、弱い者を守ってくれるはずの警備員や風紀委員が
妹たちを人間としてではなく、消耗品として認識したのだと落胆した。
以下略
377
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:30:58.67 ID:uDSMsl330
「お待たせしました、準備ができたみたいです」
「わかった。――みんな、話は無線を通して聞いているな」
『はい、隊長』
以下略
378
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:39:21.45 ID:uDSMsl330
警備員の駆る車両たちを追い回しながら、運転席の男がメーター系に視線を落とす。
時速は80キロ強。
重量50トンの車重を引っ張るのは1500馬力を誇るディーゼルエンジンだ。
不整地ならいざ知らず、きちんと舗装された道ならこれくらいの速度は問題なく出る。
以下略
379
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:47:30.97 ID:uDSMsl330
ただでさえ硝煙で曇り始めていた敷地内の視界は悪化の一途を辿り、付近一帯は灰色の霧に包まれたような有様だ。
おそらくは視界を奪って隙をつくつもりだろうが、これは明らかな相手側の悪手だ。
この戦車には高性能レーダーが搭載されている。
最新式の電探と、カスタマイズされたサーモグラフィが。
以下略
380
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:53:21.92 ID:uDSMsl330
レーダーと外部カメラを往復しながら、運転手が最も近い車両への適性射角を取ろうと操縦桿を動かす。
そうしている間にも機銃の何発かが命中しているのだろう。驟雨がトタンを打つような音が断続的に鳴っている。
逆に言えば、戦車にとって銃撃などその程度だということだ。
無駄なあがきを無視し、赤い光点が照準内に入るのを確認して砲撃ボタンに手をかけた。
以下略
381
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/09/30(月) 23:58:20.89 ID:uDSMsl330
「……そうか、あの女だ」
「え、何がだ?」
砲手の男が砲弾を装填しようとしていた手を止めた。
以下略
382
:
乾杯
◆ziwzYr641k
[saga sage]
2013/10/01(火) 00:03:51.10 ID:JywB0ZXH0
「――なんだ、今のは!?」
「あの女だ! 何かレーザーみたいなもんを出しやがった!」
視界が悪いながらも、外部カメラではっきりとそれが確認できた。
以下略
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