1: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:25:48.56 ID:uDlNoJil0
三澤紗千香さんの『明日、晴れるかな』よりインスピレーションを頂きました、上条×アリサの短編ssです
劇場版の内容はガン無視なので、パラレルだと解釈して貰えれば。
至らないところもあるかと思いますが、よければご一読ください。
それでは、最終確認が済み次第、投下させていただきます。
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2: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:28:36.59 ID:uDlNoJil0
「はぁ……」
とある学生寮の一室。
ツンツン頭の少年は、ベランダ先を眺めながら溜息を吐いた。
外は既に暗く、同じくその少年の表情も暗い。
3: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:29:56.32 ID:uDlNoJil0
ベランダから目を移し、とうまと呼ばれた少年──上条当麻はテレビを見る。そこには、女性のニュースキャスターが事務仕事のように翌日の天気予報を述べていた。
上条はそれを見て、更に困ったように呟く。
「この学園都市で降水確率90%超え。おいおい。まじでやめてくれよなぁ、明日はアリサと初めてのデートだってのにさ」
4: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:31:07.50 ID:uDlNoJil0
「い、いや。ほら。最近上条さんちはこうやってひもじいだろ?だから、小萌先生がインデックスの飯の面倒見てくれるってだけで……」
「問答無用なんだよ!!とうまぁ!!」
かぶり。今し方サラダを食べたその口で、インデックスは上条の頭に飛びついて、かじった。比喩表現でもなんでもなく、がぶっと。
5: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:32:21.80 ID:uDlNoJil0
From:アリサ
To:当麻くん
Sub:明日、晴れるかな?
本文:
当麻くん、こんばんは。
6: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:33:26.33 ID:uDlNoJil0
なんて返そうか。ああ、そうだな、的な。いや、それは簡素すぎるよな。とりあえずその文から入って……
「聞いてるのかなぁ? と・う・まぁぁ!!」
「いでっ!!」
7: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:34:23.58 ID:uDlNoJil0
「あん?またメール……土御門か。って……」
From:土御門
To:カミやん
Sub:
8: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:35:16.02 ID:uDlNoJil0
インデックスは憤慨しながら、残りのサラダを丸飲みしてしまった。上条はやれやれと言った様子で風呂場へ向かう。彼のいつもの寝床なのだ。
正直、冬場である現在は凍えるほど寒い環境なのだが、しかしインデックスと同じ部屋、間違っても同じベッドで眠るなんてことはあってはならない。
優しいアリサの性格なら、せめて部屋の床の上でと譲歩してくれるかもしれない。けれど、逆に上条の視点で考えれば、幾ら同性で親しい友達であっても、そいつと恋人が同じ部屋、まして同じベッド、なんてのは考えることすら拒否反応がでるほどの苦痛だ。
男と女では事情が違うかもしれないが、ともかく上条はそう考えるとどうしても譲れない。結果、以前と同じように、むしろ以前(アリサと交際する前)よりも、部屋で寝ることは頑なに拒んでいるのだ。
9: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:36:33.25 ID:uDlNoJil0
* * *
「帰ってきた。当麻くんからメール」
「……『あ』って。あはは、途中送信しちゃったのかな」
10: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:37:37.65 ID:uDlNoJil0
翌朝。
決戦の日である。
転じて、初デートの日である。
11: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:38:34.20 ID:uDlNoJil0
インデックスは久々の豪華な朝食にテンションをあげてありついた。美味しそうに食べてくれて、下心なしに上条もご機嫌だ。
「じゃ、小萌先生のとこ行くぞー」
「お泊まりだっけ?」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/10/07(月) 14:40:02.80 ID:3eaxMuAm0
おお!良さげな雰囲気!期待!
13: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:40:57.54 ID:uDlNoJil0
* * *
待ち合わせ場所。とある学区にある、目立つ噴水のある場所。なのだが、周りを見渡しても依然としてアリサの姿は見かけない。
それもそうだ。まだ時刻は8時43分。まだ15分以上の開きがある。
14: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:42:23.12 ID:uDlNoJil0
『……ごめんね、当麻くん』
「あ、いやいや! アリサのせいじゃねーって。事故なら仕方ないよ。冬休みだし、混雑とかもするもんだろ」
『ううん。そうじゃなくて、昨日、遅くに突然メールしちゃって』
15: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:43:36.15 ID:uDlNoJil0
「怖い?」
『うん。私がこうして当麻くんとお付き合いしてることは、すごい幸せだなぁって思うの。でも』
「……」
16: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:44:46.37 ID:uDlNoJil0
『……当麻くん』
「アリサ、今駅だったよな?今から迎えに行くよ。そっちには『セブンスミスト』もあるし、デートはふつうに出来る」
『え? でも、当麻くんがプラン考えてくれてて……』
17: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:45:43.48 ID:uDlNoJil0
* * *
鳴護アリサは、一足先にセブンスミストにたどり着いていた。
18: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:48:00.42 ID:uDlNoJil0
* * *
上条と合流したアリサは、早速もご機嫌だった。
彼女は最近、路上ライブで有名になり始めてきた新人アーティストだ。
19: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:49:01.02 ID:uDlNoJil0
「それにしても、今日は珍しい格好だな。確かにいつも白系の服だけど、今日はピンクっぽい感じだし」
「あ、気づいてくれたんだ。今日の為に、ね。似合うかな……?」
首をかしげながら身長差のある上条を間近で見上げると、それは自然と上目遣いに見える。上条はそんな男殺しの表情にゴクリと一度喉を鳴らしてから、平静を保って言う。
20: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:50:12.92 ID:uDlNoJil0
と、アリサの目線が一ヶ所に留まった。小さく漏れた声に上条が気づき、その視線を追う。
「アクセサリー店?入るか?」
「え?でも」
21: ◆ttske0ubhFi9[saga]
2013/10/07(月) 14:51:20.00 ID:uDlNoJil0
やっぱり、と、アリサが懸念していたことが起きた。
上条当麻は、基本的に優しい。その本質は見返りを求めない。それは勿論、彼女であるアリサへも例外ではない。アリサは、自分が欲しいと言えば彼が無理してでも何かを買ってくれることを、自惚れではなく理解している。
だから。
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