42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/28(土) 05:52:08.18 ID:YmJTGkrvo
しばらく沈黙があって、風の音がよく聞こえた。
ぼくは考えがまとまらなかったが、それでもがむしゃらに「でも」と吐きだした。
絞るような声だったけれど、それでも必死だった。
43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/28(土) 08:49:10.15 ID:5eFxc4Zl0
おっつっつ
44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/12/28(土) 23:53:40.01 ID:eTy6bgsOo
いい文章だ
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:52:10.35 ID:yF05ZdXHo
「歩こうよ」
不意にシナノが言った。
「歩こう。ね?」
そして足を引きずって自分から歩きだす。
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:53:28.05 ID:yF05ZdXHo
もしかして、とぼくは思った。
もしかして、人間は夜に生きる術を失ってしまったからそんな感覚を覚えるのではないか。
かつては夜行性でもあったかもしれないが、人間は太陽に魅了されその下に生き、月との触れ合い方を忘れてしまったのかもしれない。
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:54:15.50 ID:yF05ZdXHo
「ねえ」
口を開いたのはまたしてもシナノだった。
「なんか聞こえない?」
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:54:44.02 ID:yF05ZdXHo
急にアスファルトが途切れた。
砂の柔らかい感触が靴裏に感じられ、沈み込むような不安定を覚える。
シナノが酷くよろめいたのでぼくは手を貸して支えた。
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:55:14.54 ID:yF05ZdXHo
正直暗くてほとんど見えたもんじゃなかったけれど、海は確かに小さく開けた浜にあった。
月のかすかな光を反射して、いくつもの波がテトラポッドの集まりに押し寄せていた。
結構高い波だ。油断すると弾けた飛沫がこちらにまで飛んでくる。
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:55:51.17 ID:yF05ZdXHo
海には夜以上に魔力があるようで、どれくらい時間が経ったか分からないけれど、時計を見ると既に日付は変わっていた。
「これからどうする?」
セミの言葉にぼくはみしみしと痛む足を思った。
「ぼくは帰ろうかと思います」
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:56:58.90 ID:yF05ZdXHo
来た道を一緒に引き返しながらシナノと話した。
「結局夜はどうして閉じてるんだろうね」
「さあ。わかんない」
シナノはもうほとんど興味を失った様子だった。
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/12/29(日) 18:57:26.20 ID:yF05ZdXHo
シナノは少し考えたようで、間をおいてから口を開いた。
「そのときはそのとき。今日みたいな夜が続くなら、悪くないような気もするしね」
ぼくは妙に納得して、後は黙って歩き続けた。
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