10: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:39:16.09 ID:BnZpgpRg0
「……ん?」
闖入者の存在に気づいたらしい彼女は、首をくるりと回して暖かい眼差しを自分に向けた。
11: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:41:17.88 ID:BnZpgpRg0
思えばどうして死んでいるという答えが出たのか、今の私にはわからない。
きっと気が滅入っていたのだろう。
大人になろうと背伸びしていた私は、いつの間にか暗い考えしか思いつけなくなっていたのかもしれない。
12: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:43:18.16 ID:BnZpgpRg0
「バカねー、入り口の名前が消えてるなら退院したってことよ」
私よりも小さな体躯で鈴を転がしたように笑う彼女。
初めてそんなことを言われた。
13: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:44:05.55 ID:BnZpgpRg0
何でもできる、賢いんだから。
そう言われ気分をよくしていた私の小ささを思い知るほどに、彼女はあらゆる分野においてたくさんの物事を知っていた。
年下にしか見えない背丈からは想像もできないことだ。
14: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:44:54.84 ID:BnZpgpRg0
「ねぇ、どうしてなまえおしえてくれないの?」
15: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:46:21.74 ID:BnZpgpRg0
「いい? 有名人の友達って嘘つく人もたくさんいるのよ?」
まるで諭すように私に語りかける。
「あんたは素直な子だから、嘘つきだと思われたくないの」
16: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:47:38.40 ID:BnZpgpRg0
「まあその頃には私のことなんか覚えてないでしょうけど」
私はそんな彼女の言葉を聞いて、本気でアイドルを目指しているのだとはっきり理解した。
それは少しおかしくて、それに彼女ならアイドルになれる気がした。
17: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:48:05.88 ID:BnZpgpRg0
どうして怪我をしたのか。
18: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:49:34.56 ID:BnZpgpRg0
「気になる?」
その言葉にはっとする。
彼女に気を遣わせてしまった。
19: ◆eyH5F3DPSk
2014/01/14(火) 21:51:13.69 ID:BnZpgpRg0
「じゃあ今から独り言を言うからあんたは聞かないでおいてよ」
彼女は淡白だった。
私はそういう人間を今まで見てきたことがない。
62Res/26.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。