110:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:25:39.33 ID:rvZEoW38o
少しずつ大きくなる彼女の姿。
見えて来たのは、べべと呼ばれたあの子の姿。
それをしっかりと胸に抱えて、巴マミは私たちのところへと歩み寄る。
そして、首を振った。
111:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:26:29.36 ID:rvZEoW38o
「あの子が、最後に投げてよこしたの。これをなぎさだと思って生きるのです、って」
112:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:28:35.22 ID:rvZEoW38o
彼女の手は、届かなかった。
ぶつかりあった二つの想いは、この結果を与えたと、そういうこと。
巴マミの手元に、その欠片だけを残して。
私は掛けるべき言葉を探して、すぐにそれを見つける。
113:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:29:27.51 ID:rvZEoW38o
ぽりぽりと頬を掻いて、杏子は目を逸らす。
それが意味する所は何かと、少しだけ訝しんだけど。
そんな心配は、無意味だった。
114:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:30:50.43 ID:rvZEoW38o
円環を後にして、場所は再び巴家。
戻ってきた私たちに、しばらくの間、言葉は無かった。
結局の所、物として得られたのは、さやかの髪飾りと、べべのぬいぐるみ。
それだけだった。
115:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:32:01.40 ID:rvZEoW38o
「マミさん。ごめんなさいじゃなくて、ありがとう、なら聞いてあげます」
116:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:32:38.52 ID:rvZEoW38o
見滝原の灯りが照らす光と、夜が落とした帳の闇。
その中に、異物として、混じる物が在った。
始めは、よくよく注意を凝らさなければ気付かないほどに小さかった。
それは次第に質量を増して、大きくなって、私たちの視界にはっきりと映り込む。
117:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:33:25.87 ID:rvZEoW38o
それは心底、不意打ちだった。
この世界に生まれ、ほんのひと時を宙に舞い、溶けて消える雪の結晶。
見る者の心に何かを残し、何かを与え、また空気中の水分として姿を消して。
この世界を巡り、循環し、いつかまた雪と降るだろう。
118:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:35:50.17 ID:rvZEoW38o
「ほむらちゃん、ほら」
119:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:37:25.03 ID:rvZEoW38o
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120:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:38:45.55 ID:rvZEoW38o
少しずつ、思い出す。
そう、長い長い戦いの果てに、長い長い眠りに、私は就いていた。
この身が生んだ呪いに向き合う為に、この世界で目を閉じて。
かつて私の仲間たちが先に逝き、同じように受け止めて、新たな存在として生まれ変わって行ったように。
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