90:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:02:29.64 ID:rvZEoW38o
「なぎさは、もうこれを繰り返したくないのです」
91:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:03:01.99 ID:rvZEoW38o
「じゃあ、優しい私なんて、もうやめるわ」
「上等。かかってきやがれ、なのです」
92:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:05:50.07 ID:rvZEoW38o
黄色と橙色の大嵐から離脱した私たちは、水の中に。
より正確に言うのならば、そこは海の底。
深く沈んだ青色に包まれた空間は、痛いほどの静寂に包まれている。
たった一つの例外が奏でている音を除いて。
93:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:07:00.72 ID:rvZEoW38o
ほとんど初心者同然の、美樹さやかのそれに、だけど私たちは聞き入った。
深い深い海の底で、バイオリンの弓と弦が擦れ合う。
生まれているものは鎮魂歌か、それとも別の何かか。
そういった知識に乏しい私には、耳を傾けることしか出来なかった。
94:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:08:00.25 ID:rvZEoW38o
「で、さ」
95:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:09:04.47 ID:rvZEoW38o
「……そっか」
96:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:10:11.69 ID:rvZEoW38o
「……ん。しょうがないなあ、もう」
97:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:10:55.04 ID:rvZEoW38o
そして、聴き覚えのあるピアノがどこからか流れ始める。
ここが彼女の世界なら、それくらいのことは簡単なのかもしれない。
曲名に心当たりは、あった。
いくら教養に疎い私と言えど、それくらいの知識はあった。
98:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:12:36.22 ID:rvZEoW38o
美樹さやかの表情は、穏やかだった。
音色に浸るでもなく、演奏に注力するでもなく。
ただ記憶の欠片を拾い集めながら、頭の中のそれを再現している、そんなような感じだった。
そんな彼女を見て何を思うのか、ステージから佐倉杏子が、小さな声で、聞く。
99:以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします[saga]
2014/02/12(水) 00:13:33.11 ID:rvZEoW38o
一度、休みに入ったのか、バイオリンを置いて。
変わらず続くピアノの音を聴きながら、彼女は遥か高くを見上げる。
その先には水面があって、空が在る筈だけれど、深く淀んで何も視えない。
129Res/85.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。