31: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:47:42.88 ID:zyFBEZ370
商店街に向かう道のりに、交差点がある。
見通しがよく、まっすぐに伸びた道が四つ重なり十字を二つ切った形になっている。
交差点で京太郎は声をかけられた。
老人だった。
32: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:50:22.47 ID:zyFBEZ370
京太郎の手作りの地図を受け取ると京太郎に御礼をしたいと老人がいい始めた。
「ここまで親切にされると、さすがにまったく何も礼をしないわけにはいかない。
よかったらこいつを持っていってくれ。
なに、たいしたものではない。
雨が降りそうだろう。
33: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:52:28.93 ID:zyFBEZ370
しかし京太郎は受け取ってしまっていた。
よくわからないが、いつの間にか受け取っていたのだ。
記憶がはっきりとしない。
何か、心の中で揺れ動くものがあったのかもしれない。
34: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:55:24.24 ID:zyFBEZ370
雨が少しずつ強くなっている。
シャワーでも浴びたかのように京太郎の髪の毛はぬれてしまった。
「おかしい」
雨にぬれながら歩く京太郎は、自分がどこを歩いているのかがわからなくなっていた。
35: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:57:10.91 ID:zyFBEZ370
脳裏に走るのは雨とともに現れたマネキンの話。
あまりにもファンタジーな感覚が、理論を越えた世界を予感させている。
怪物、悪魔たちの世界。
しかしそんなものがあるのか。
36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/05/09(金) 13:58:09.58 ID:/b7xCjZs0
あの清澄の黒い制服なら
ポンチョ着れば上はまんまって感じか 帽子無いけど
37: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 13:59:39.82 ID:zyFBEZ370
額にへばりついている前髪を一気にかき上げる。
そしてしっかりと怪物をにらんだ。
その姿を彼は文献の中で見知っていた。
地獄でもがく畜生。
38: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 14:03:09.22 ID:zyFBEZ370
「あれが自分の未来の姿」
ガキを前にした彼は一目散に逃げ出した。
頭が動かなかったのだ。
39: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 14:05:36.03 ID:zyFBEZ370
しかし、終わりではない。
ガキも必死である。
何せ食べることができない世界から食べられる世界に来て、一番に出会えたのがあんなにもおいしそうな獲物なのだから。
「逃げて結構ですよ」
40: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 14:07:31.98 ID:zyFBEZ370
ありえない思考が彼の頭に流れた。
「戦う」
背後から迫る気配が何者であるかなどというのはどうでもいいこと。
しかしおそらくどうにかしなければ自分が助からないのは紛れもない本当。
41: ◆hSU3iHKACOC4[saga ]
2014/05/09(金) 14:09:46.97 ID:zyFBEZ370
跳ね飛ばされてもなおあきらめきれないガキは京太郎に向かって突っ込んできた。
勢いよく突っ込んでくる怪物の体を、尋常ならざる力で京太郎は受け止めた。
命がつながりさえすればいい。
この一瞬だけのため、すべてがささげられている。
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