過去ログ - 星の声が聞こえている
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51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:39:52.45 ID:1qEy49aIo

 自分という外殻の過敏を思う。
 人の視線への感度の過ぎたる高さを思う。
 要はそれなのだ。他人の視線ではない。それを感じる自分の問題なのだ。
 自分を縛り、刺し、傷つけるのは自分だ。自分の中の虚栄心がそれをする。
以下略



52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:40:20.07 ID:1qEy49aIo

「……なに?」
 ケイはかすれ声でその少女を振り仰ぐ。
 スズはともすれば冷酷にさえ見える瞳でこちらを見下ろしていた。
 その口が開く。
以下略



53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/07(月) 18:40:54.52 ID:1qEy49aIo

 いきなりなんなんだろう、とかろうじて思った。
 ぐわんぐわんと波打つ頭蓋の中でそれを考えられたのは一種の奇跡だったかもしれない。
 自分は何かスズの気に障るようなことでもしたのだろうか。
 なんでいきなりぼくを責めるんだろう。
以下略



54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:52:45.40 ID:HFfF56Bmo

「君はなんでそんなに強いの」
 口から漏れた言葉が震えるのは怯えのせいかもしれないし怒りのせいかもしれない。
 ケイがそのとき感じていたのは単に胸が痛むということだけだった。
 ひどく傷む。
以下略



55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:53:25.41 ID:HFfF56Bmo

 言葉を重ねながら頭の隅では理解している。
 この先に待つのは後悔と自己嫌悪だ。
 だがそれでも胸が痛いのだ。

以下略



56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:53:51.89 ID:HFfF56Bmo

 誰かがシュートを決めたのかまばらな歓声が聞こえた。
 バットがボールを捉えたいい音がした。
 ケイたち二人の周りでは音はしなかった。

以下略



57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:54:24.27 ID:HFfF56Bmo

 残りの授業を受けずに帰ったので母に叱られた。
 心配と不安の入り混じった声での叱責だった。

 なんでそんなことしたの。あんたはそういう子じゃないでしょ。
以下略



58:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:54:51.16 ID:HFfF56Bmo

 ムロイが木材置き場に姿を現したのは町が闇に沈みきるその間際だった。
 ケイはずっと専用席でうずくまって彼が来るのを待っていた。
「あれ、今日はずいぶん早いね」

以下略



59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:55:19.12 ID:HFfF56Bmo

「でも一方でぼくはスズのように独りでいても平然としていることもできない。
 弱いんですよ。どうしようもなく中途半端です。
 みんなとおんなじにもなれなければ完全に別のものにもなれない」

以下略



60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/07/08(火) 20:55:54.37 ID:HFfF56Bmo

「俺には、俺の世界しか見えない」
 それからケイを指して続ける。
「君には、君の世界しか見えない」
 そして、スズにはスズの世界しか見えないのだろう。
以下略



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