6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 08:49:43.50 ID:3xKP/jN8o
ミミミンミミミン ピッ
「もしもし」
『杏、今事務所か?』
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2014/05/26(月) 09:09:55.44 ID:3xKP/jN8o
……最悪だ。
冗談や奇跡の類を、期待はせずに聞き返す。
「え……、マジ?」
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2014/05/26(月) 09:11:54.81 ID:3xKP/jN8o
「プロデューサー、渋滞に巻き込まれたって」
「……えっと。……仕事には?」
「間に合うようにするって。ちひろさんがくるらしいよ」
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2014/05/26(月) 09:12:56.48 ID:3xKP/jN8o
「それじゃあ、ちょっとボクお茶を入れてきます」
「……はいはい」
「……」
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2014/05/26(月) 09:13:47.51 ID:3xKP/jN8o
普段杏は他人に対して悪口を言わない。
もちろん、人間性が優れているから、などという事ではなく。
そもそも他人にそんな感情を抱くことすら億劫なのだ。
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:16:12.62 ID:3xKP/jN8o
「そんなにボクがおかしいですか」
声を出していた自分の間抜けさを呪いながら、そんな様子はおくびにも出さず幸子に目を向ける。
「もうお茶入れたんだ、早かったね」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:17:33.10 ID:3xKP/jN8o
既に何度目かわからない沈黙の訪れに、TVの音響が空虚に響く。
番組はクライマックスを迎え、さあどうなる、というところでいつもの山場CM。
妙に明るい15秒スポットを写す中、たまたま自分の出たものも混じっていた。
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:18:27.91 ID:3xKP/jN8o
「双葉杏。アイドル1やる気のないアイドル」
「人受けのいいように振る舞うわけでもなく、でも、嫌われるわけでもなくて。……むしろ人気の要因です」
「……あなたには、媚びた笑いを振りまいて自意識過剰と笑われるボクが、さぞ滑稽に映ってるんでしょうね」
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:21:14.47 ID:3xKP/jN8o
こちらを責めながら、幸子は笑っていた。
いつものテレビで見る余裕ぶった笑いとは違う、歪んだ笑み。
劣等感と優越感をない交ぜにした、泣いているような笑顔。
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:25:04.97 ID:3xKP/jN8o
「そりゃあわかんないよ。だって杏とキミは他人だもんね」
「でもキミに分からないこと、杏は知ってるんだ」
「……私さ、体小さいよね。まあ今はいろんな意味でネタになってるし、それで楽もできてるけど」
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/05/26(月) 09:27:53.62 ID:3xKP/jN8o
「でもそれがあっても私はこんなところで燻ってる
頑張って、頑張ってさ。頭はクリア、体も動く。
いける、やれる。……今度は、違う。そこでいつも倒れるの」
「やになるよ。……少なくとも私はやになった。やってられるかーってなった
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