過去ログ - 教師「お前は一体どうしたいんだ!」 少女「私は……」
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2014/10/01(水) 00:58:13.23 ID:pQGk8Z2w0
ふと、手の平に痛みを感じた。知らない間に両手を固く握りこんでいたらしい。痛みのあった左手を開くと、さして長くもない爪が食い込んだ痕が残っていた。爪痕は皮膚を突き破って鮮血を滲ませていた。
どこかで窓が開けられているのか、生暖かい風がゆるく吹いている。わずかに雨の気配があった。知らず、詰めていた息を吐き出すと、それは大きな溜め息になった。
この先、教師にできることはほとんどないだろう。自分に残された、少女のためにできる数少ない事のひとつを済ませるために、教師は生徒指導室に向かった。
以下略
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2014/10/01(水) 00:59:23.94 ID:pQGk8Z2w0
応接室と生徒指導室は割合近い。移動にはほんの数分もかからなかったが、教師にとっては永劫に続くかに思うほど遠かった。
あるいは、それは教師の願望だったのかもしれない。生徒指導室まで永久に辿り着くことがなければ、教師は自分の直面した現実と向き合わなくて済む。
しかし悲しいかな、教師の足は止まることを知らず、着実に距離を刻んでいた。
行く手に見えた「生徒指導室」のプレート。予想だにしないものを見つけた気がして教師の足が凍りついた。
以下略
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2014/10/01(水) 01:00:22.72 ID:pQGk8Z2w0
教師「……というわけだ。私はこれきり、この件に――お前の家の事情に関われなくなった」
生徒指導室の一角で、教師は目を伏せて言った。とても顔を上げて、少女の目を見て話すことができない。
教師はうなだれて少女の言葉を待った。机の角あたりにじっと目を落とす。教師の耳が小さな音を捉えて、少女が息を吸う音かと身を強張らせた。しかし、衣擦れに似たその音は断続的に続いている。
以下略
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2014/10/01(水) 01:01:54.74 ID:pQGk8Z2w0
憤怒に声を凍てつかせた少女は、やがて不意に穏やかに微笑んだ。
少女「先生はよく頑張ってくれました。今回の件だけをとっても、私のためにたくさん尽力してくださったことは私が知っています。……それを」
少女は申し訳なげに目を沈ませたが、それも一瞬のこと、すぐに不快げに眉をひそめた。少女の眼は教師ではない誰かを睨んでいる。宙を睨んだ視線が誰に対して向けられたものかは容易に察せられた。
以下略
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2014/10/01(水) 01:02:44.11 ID:pQGk8Z2w0
教師「連中は確かに信用出来ない。ともすれば、お前が話したところで全て握りつぶしかねない。そういった懸念は間違いなくある。だがそれは、お前が私以外の連中を拒むに足る理由にはならない」
少女「どうしてですか? 私は、先生以外には――」
教師「事態はすでに動いているからだ。お前の母親を引っ張りだして面談が行われた時点で一定の目的は達している。そもそも私の――担任の存在を前提として諸々の対応が組まれているわけではないのだから、私の不在は、それ自体では大した問題にならない」
以下略
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2014/10/01(水) 01:03:48.92 ID:pQGk8Z2w0
噛みしめるような静けさを纏った少女は生きた彫像のようだった。その横顔にさっと光がかすめた。
雨は止んでいた。雲間から差し込む太陽の光が少女を照らしていた。
絵画のワンシーンのような光景に、教師は言葉も忘れて見入った。
以下略
149
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2014/10/01(水) 01:04:57.73 ID:pQGk8Z2w0
今日はこんなところで
終りも近いかな
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2014/10/01(水) 02:19:26.20 ID:Bar0JJLx0
乙
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2014/10/02(木) 01:48:33.37 ID:WyYPHy7QO
乙です。
続きが楽しみでもあり、終わりに近付くのが残念でもありなんとも言えない心境です。
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(SSL)
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2014/10/02(木) 04:46:45.81 ID:83d88d390
乙
副担任が不気味すぎる
153
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2014/10/02(木) 14:44:21.94 ID:5lwd6XQ3O
乙
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