過去ログ - とある罪人達のための教会
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2014/06/17(火) 02:55:26.92 ID:/eWvdN5Bo
わたしは言った。
「おまえたちは神々だ。おまえたちはみな、いと高き方の子らだ。
にもかかわらず、おまえたちは、人のように死に、君主たちのひとりのように倒れよう」
詩篇82:第六節、第七節



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2014/06/17(火) 02:56:18.73 ID:/eWvdN5Bo
 第十二学区。
学園都市の東端に位置し、様々な宗教施設が集中しており、学園都市内部での布教活動に置け
る拠点が数多く設置されている。十字教各宗派、ユダヤ教、イスラム教各宗派、神道、仏教各
宗派、ヒンデュー教、シーク教などの教会・寺院を始めとし、その他世界のあらゆる宗教の研
究施設などが各ブロックや各通りごとに区分けされ点在している。宗教学区という特性上、各
以下略



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2014/06/17(火) 02:57:08.62 ID:/eWvdN5Bo
 宗教間の対立などが外部からは懸念されがちであるが、宣教師に温厚な人柄が多いことやま
た遠く極東の地で同じような使命を任された者同士、宗派国籍を超えた特殊な絆・繋がりが強
く基本的に隣人同士の関係は良好で治安も良い。「置き去り」などを一時的に保護するボラン
ティア団体もある。様々な文化が混在しながらも各宗教各宗派の代表者で作る共同体により、
緩やかな規制の下大きな衝突も無いまま共存している。
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2014/06/17(火) 02:58:54.85 ID:/eWvdN5Bo
その小さな教会は第十二学区の北部にあって、中心街の喧騒からは離れ昼下がりの穏やかな
陽光に照らされて白く輝かんばかりであった。昼の祈りを終えた神父は外壁と同じくらい染み
一つ無いアルパを脱ぎ、ローマン・カラーの付いた灰色のシャツに黒のチノパンというややラ
フな格好で、昨日までもそうであった様に静かに告解室の片側に入り、中に置いてある木製の
椅子に腰掛けると、入ってきたときと同じようにまた静かに告解室の扉を閉めた。告解室は狭
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:01:00.40 ID:/eWvdN5Bo
科学がどれだけ進歩しようとも人は何かに縋らなくては生きていけないことを神父は知って
いたし、学園都市に住む者であってもそれは同じであることも知っていた。むしろ技術や知識
の拡大によって個人で扱う領域が大きくなれば大きくなるほど、より大きな何かに赦しや導き
を求める人間が多くなっていると神父は感じていた。自分たち宗教家はより大きな何かを神と
呼ぶが、時としてそれは信念や真理などと名を変える。
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:04:10.53 ID:/eWvdN5Bo
神父は微笑みながらフランス語で「こんにちは」と挨拶をした。
立っている人物はピクリと身体を強張らせると告解室に顔を差し込むと内壁の小窓を覗き込ん
できた。光の加減なのか瞳が赤く見えた。
今度は「お入り」と日本語で促した。
フランス語で「はい」と返事があり、声はか細くやや掠れていたが、少年であるということが辛うじてわかった。
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8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:07:02.64 ID:/eWvdN5Bo

神父にとって訪れる者が信者であるのかそうでないのかはあまり重要ではなかった。信仰の
形は人それぞれであると思っているし、神の在り様もまた千差万別であると学んだからであっ
た。特に日本という国においては。彼らは万物に神が宿るという。それは唯一絶対の力を持つ
全能の父ではなく、欠点を持ち気まぐれで人間臭い神々であると言う。
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9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:09:09.87 ID:/eWvdN5Bo

「恋人かい」神父は楽しそうに笑う
「ちげェ」
そうかそうか、と神父は頷くと少年の言葉を待った
長い沈黙があって、少年は躊躇っているようだった。神父は決して急かしはせず、静かに待った。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:11:45.82 ID:/eWvdN5Bo
 
「オレは負けた。無能力者に。最強が最弱に捻りつぶされちまった。そいつはオレが壊して
きた人形は人間だと言いやがった。なンで負けたのかもわからねェ。ただオレは間違ってたン
だろォな」

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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:14:07.42 ID:/eWvdN5Bo

「君の罪は決して消えはしない。君が何をしてどう生きようとも、君の一生は君の犯した罪
によって、君が殺した者達によって常に苦難の様相を示すだろう。君が本当に自身の罪に向き
合えば向き合うほど、君に重く圧し掛かってくる。誰かを助ければ罪が消えるわけではない、
誰かが君を許すと言っても君の心に安寧は訪れない。行いによって犯された罪は行いによって
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/06/17(火) 03:16:24.40 ID:/eWvdN5Bo

だが君はここを訪れ、自ら告白した。君は信者ではないし、神も信じていないかもしれない。
だが告白した。それは罪に向き合う姿勢だ。
主は君を祝福されないだろう。どのような窮地に立とうとも君に救いの手を差し出すこともなさらないかもしれない。
だがそれを責める資格は君には無いのだ。主が与えたもうた試練ということも出来るかもしれない。
以下略



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