過去ログ - 高木「人生に乾杯を!」
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31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:16:06.07 ID:9uLTT2Jd0
「おーっす、どうだ終わったか?」
 次の言葉が見つからなくなった僕達の間に、高木が割り込んでくる。
 コイツは、良い意味でも悪い意味でも、つくづく空気が読めない男だ。
「何だよもう、こんなの時間かけなくていいよ、オッケーオッケー、終わり! 契約完了!」

以下略



32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:18:54.28 ID:9uLTT2Jd0
 かくして、僕と高木と音無さんは、馴染みのレッスンスタジオへ向かった。

 白のTシャツに黄緑色のジャージ上下――。
 彼女が着替えてきた運動着姿は、服装こそおよそオーソドックスではあったが――。

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33:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:23:14.79 ID:9uLTT2Jd0
「じゃあ、まず1で右足前。そうそう、で、2、3でこう足を揃える――」
「ん――」

 たどたどしいステップを踏み始める音無さん。
 何度も同じところを、繰り返し繰り返し――まだ要領を得ない。
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34:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:25:17.15 ID:9uLTT2Jd0
「よし、それじゃあダンスレッスン終わり!
 ボーカルレッスンしようぜ。ここと違う階に専用のスタジオがあるんだ」

 呆気に取られる彼女に、早く立ち上がるよう高木はジェスチャーを繰り返す。
 そうしながら、ふと僕の方に顔を向け、ニカッと笑ってみせた。
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35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:27:23.72 ID:9uLTT2Jd0
 レコードをセットし、音無さんをマイクの前に立たせる。
 歌詞カードを両手で持ち、少し緊張している様子だ。

 多くを求めていたわけではないが――いかにも歌い慣れていない素人だな。
 当然のことではあるので、今後場数を踏んで慣れてもらえれば良い。
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36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:31:46.82 ID:9uLTT2Jd0
 歌い終わり、ホッと息をつく音無さんに、高木が水を差し出した。

「すっげぇよ――本当に、こんなすごいの初めて聴いたよ」
 言葉にできない――高木の表情が、何よりも彼の心情を物語っていた。

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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:33:44.57 ID:9uLTT2Jd0
【2】

 彼女の歌声を録音したデモテープを持ち、さっそくレコード会社への営業が始まった。

 僕らの読み通り、いずれもその反響は大きく、曲のオファーが相次いだ。
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38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:36:44.39 ID:9uLTT2Jd0
「ラジカセ使って、その場で聴かせてやったら、二つ返事でオーケーもらったぜ。
 あのオヤジ、この間別の子の売り込みで会った時はほとんど無関心だったクセによ」

 シャンディガフを美味そうに飲みながら、高木は誇らしげに語った。
 外回りで我が事務所の評判を落とすようなことをしていないか、心配だ。 
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39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:40:14.36 ID:9uLTT2Jd0
「肝心の彼女はどうしてる? 俺達の歌姫は」
「今日は、高校の卒業式だったそうだ」
「卒業式ねぇ――」

 とうに日は暮れ、しかしせわしなく人々が往来するドアの窓の外を眺め、高木が呟く。
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:43:12.64 ID:9uLTT2Jd0
「なら、お前は何をするんだ。僕の代わりに、アイドルのスカウトでもやるか?」
 まるで仕事をしたくないとでも言いたげに聞こえたので、少し僕の語気が強まった。

「あぁ、別にそれでもいいぜ。お前とおっちゃんの仲を邪魔しなくて済むならな」
「はぁ?」
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41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL)[saga]
2014/07/24(木) 15:45:18.27 ID:9uLTT2Jd0
「だって夏場になったらTシャツ一枚になるんだぜ?
 タンクトップなんて着せた日にゃ、すんげぇぞアレ。もったいねぇよなぁ」
「彼女にダンスの展望が開けないのなら、仕方がないだろう」
「残念なのは否定しねぇんだな」
「高木っ!」
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