過去ログ - 全身が鉄でできている人の話
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:41:29.09 ID:SluoaBc3o
こんな見てくれだからこそ、せめてある程度の学歴は持っておいた方がいい。
進学を決めたのは自分でそう判断したからだったけれど、
それでもこれから始まる大学生活のことを考えると彼の気持ちは重たく沈んだ。
どうせまた、遠巻きにされるんだろうなあ。


7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:47:44.04 ID:SluoaBc3o



大学生活が始まってからも、彼の日々の過ごし方は特に変わらなかった。
突き刺さる視線に気づかないふりをして素早く移動、
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 17:53:26.63 ID:SluoaBc3o
彼はゆっくりそのベンチに腰掛けて、それが自重で壊れてしまわないことを注意深く確認した。
それからため息を深くついて、この新しい秘密基地の景色を改めて眺めた。
亀裂を埋めた痕跡が所々残る校舎、苔むした地面、ドロドロになった排水溝、そして冷たいベンチ。
このじめじめした薄暗い空間は、たいそう彼の気に召した。

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/02(土) 17:56:54.75 ID:JK49vbgvO
新種のSCPかな?


10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2014/08/02(土) 17:59:39.17 ID:vOYu1CYh0
シザーハンズじゃないですかー


11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:04:26.53 ID:SluoaBc3o
秘密基地を見つけてからしばらく経ったある日。
彼が代わり映えもなくベンチの上で本を読んでいると、
急に誰かの足音が近付いてきた。
それまでこの場所を人が通りがかることなんて一度もなかったから
これだけでもう彼は飛び上がらんばかりに驚いた。
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:09:14.85 ID:SluoaBc3o
真っ白になった視界が色を取り戻すまでに数秒の時間を要した。
なんとか極度の驚きと緊張から身体の主導権を取り返して、
顔は文庫本に向けたまま、彼は横目で隣の様子を窺った。

俺のことを知っていて近づいてきたのだろうか。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:14:11.79 ID:SluoaBc3o
彼は顔を上げて、隣を見た。
そこに座ってたのはおそらく大学生であろう女の子で、
小柄な体躯と不釣り合いに大きな鞄とギターケースを肩に負い、
そして厳ついヘッドホンを首から下げていた。

以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:19:35.27 ID:SluoaBc3o
彼はしばらく黙ったままだった。
これは別に彼女の話を聞こうとしていたわけではなくて、
単純に彼の喉から声が出てこなかっただけだ。
経験がある人には分かるだろうけれど、長らく何も話していないと
言葉を口にするのはどんどん億劫になってくる。
以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:23:19.48 ID:SluoaBc3o
本当に全身鉄なんですね、と彼女は言った。
それは案の定彼の異形を面白がるようなもので、
彼の神経を逆なでするには十分過ぎる台詞だった。
彼は隣に座る女性を思い切り睨みつけて、
興味本位なら今すぐ失せろ、と精一杯低い声色を作って脅しにかかった。
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/02(土) 18:27:02.38 ID:SluoaBc3o
「お名前教えてもらってもいいですか?」

「…………」

「じゃあ鉄さんとお呼びしますね、
以下略



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