過去ログ - 絵里「その花の色は海のよう」
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:56:49.86 ID:PqSllGERo

 この際、頭と心の中身を全部包み隠さず送りつけたかった。
 でもこんなぐちゃぐちゃした気持ち、
 言葉にすればざっと七、八千字はかかりそうで、
 どうせ途中で蝉の音やトラックの走る音にかき消されて伝わらないだろう。
以下略



38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 16:59:30.20 ID:PqSllGERo

 そう、正論はこの子の取り分だ。
 園田海未は弓道も日本舞踊も現役で、
 絢瀬絵里はクラシックバレエを引退して数年経つ。
 私はこの子みたいに正しい道をまっすぐ歩くことなどできなかった。
以下略



39:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:02:10.60 ID:PqSllGERo

「そんな顔しないでください。
 さ、ちゃんと立って。行きますよ」

 そう言って私の汗ばんだ肩を優しく起こすと、
以下略



40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:04:51.21 ID:PqSllGERo

「それで、この先をまっすぐでいいんですか?」

 そうね、そのうち突き当たるからそこを左よ。
 この抜け道、希に教えてもらったんだけど日陰が多くてありがたいのよ。
以下略



41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:07:31.61 ID:PqSllGERo

 ぴくん、と振れた私の指をごまかそうともっと力をこめた。
 一瞬遅れてあの子の手が握りかえしたとき、
 もう少しで倒れてしまいそうだった。

以下略



42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:10:11.96 ID:PqSllGERo

 茶色のくすんだプランターには
 ひらがな混じりの幼い文字で学年と名前、
 まだ少し濡れた土からは
 緑色の太い茎が青空を撃ち抜くいきおいで伸びていて、
以下略



43:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:12:52.33 ID:PqSllGERo

 海未は私のファンの話をした。
 海未は私が壇上でのスピーチを終えて
 解散した後に聞こえた「かっこいい生徒会長さん」の噂について聞かせた。

以下略



44:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:15:32.80 ID:PqSllGERo

「私は『絵里を知っている』と言ったんです。
 遠くから見えた姿も、いまここにいるあなたのことも」

 そんなあなたのことを支えたいと、海未は私に言った。
以下略



45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:18:13.24 ID:PqSllGERo

「……海未に支えられるの? 私、結構重いわよ?」

「大丈夫です。
 それなりに鍛えてますから」
以下略



46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:20:53.77 ID:PqSllGERo

 やっちゃった。
 愛、なんて聞き慣れない言葉を使ったのがまずかった。

 たぶん、
以下略



47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/10(日) 17:23:34.18 ID:PqSllGERo

  ◆  ◆  ◆

 結局、十分遅刻した。
 どこが近道なのよ、って言うけど結局私のせいだった。
以下略



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