過去ログ - 玄「お母さんの」宥「リドルストーリー」
1- 20
1: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:35:21.93 ID:aH7Hxcpfo
玄、宥、灼、晴絵の阿知賀SS
60レスくらいで終わります

SSWiki : ss.vip2ch.com



2: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:36:24.04 ID:aH7Hxcpfo


   1


以下略



3: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:37:05.33 ID:aH7Hxcpfo

 母親が生きていれば、私がここまで感傷的に、ことあるごとに、お母さんお母さんと胸中で想うことはなかったのかもしれない。

 頭の中で、お姉ちゃんとお母さんと三人、桜の下を散歩した記憶を反芻することも、今ほどはなかったのかもしれない。 

以下略



4: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:37:48.64 ID:aH7Hxcpfo

 結局、私たちがお母さんを強く想うのは、私たちとお母さんの距離が遠く離れてしまったからなのだと思う。

 死別したお母さんとの距離は、絶対に埋められない。

以下略



5: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:38:30.18 ID:aH7Hxcpfo

 インターハイが終わり、部室でお姉ちゃんの進路について話していたとき、穏乃ちゃん、憧ちゃんから聞いたのだ。

 私たちの親はこうだったらしいと、二人はそれぞれのお母さんの、学生時代の話をしてくれた。

以下略



6: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:39:14.33 ID:aH7Hxcpfo

 亡くした時期が早すぎた。

 普通なら共に暮らし成長していく過程で、断片的に少しずつ、親の過去を聞き知っていくものなのだろう。

以下略



7: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:39:58.11 ID:aH7Hxcpfo

 そこで私は、お姉ちゃんに相談して、お母さんの遺品を物色することにした。

 お母さんの私室は、今でもほぼ存命当時のままになっている。

以下略



8: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:40:36.72 ID:aH7Hxcpfo


玄「?」

宥「小説……? なのかな……」
以下略



9: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:41:37.48 ID:aH7Hxcpfo

玄「作文? 文系の授業でノートがなくなって、空いてるここに書いたとかかな」

宥「でも、それにしては内容が……」

以下略



10: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:42:22.56 ID:aH7Hxcpfo

 一人称視点で綴られた小説のような文章。

 しかしその内容はあまりに平坦で、物語としての面白みには欠けていた。

以下略



11: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:43:38.46 ID:aH7Hxcpfo

 +++


 岐路    松実露子
以下略



12: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:44:19.34 ID:aH7Hxcpfo

 乗っているのは私たち二人だけ。

 山上の町から麓まではバスも出ているが、私とミチコはこのロープウェイを使うのが好きだった。

以下略



13: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:45:13.52 ID:aH7Hxcpfo

玄「これ、どういう意図で書かれたものなのか、よくわかんないね」

宥「うん。『私』っていうのは、お母さんのことだよね。ミチコさんっていうお友達と、一緒に帰るだけのお話?」

以下略



14: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:46:27.18 ID:aH7Hxcpfo

 マフラーを口元まで引き上げ、顔を隠すお姉ちゃん。

 お姉ちゃんの中では、もうこの文章は私小説で、「私」はお母さん、そして「想い人のキヨシくん」がお父さん、ということになってしまっているらしい。

以下略



15: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:47:08.67 ID:aH7Hxcpfo

宥「タイトルの岐路は、ミチコさんと『私』の岐路って意味なのかな。卒業が近づいて、ミチコさんとのお別れが迫った心情を表しているのかも」

玄「なんだか国語の授業みたいになってきたね……」

以下略



16: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:47:52.95 ID:aH7Hxcpfo

宥「はわわ……! なんだか見ちゃいけないものを見てる気がする〜」

玄「お姉ちゃん、そんなにマフラー巻いたら窒息しちゃうよ」

以下略



17: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:48:45.31 ID:aH7Hxcpfo

 表紙を見る限り、残っているのはお母さんが高三のときに使っていたものだけらしい。

 一、二年生の頃のノートや、中学生の頃に使っていたものは処分してしまったようだ。

以下略



18: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:49:39.72 ID:aH7Hxcpfo

 気になって「岐路」が書かれていた数Vのノートを開く。

 「岐路」以前の授業の書き取りは、切りのいいところで終わっていた。

以下略



19: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:51:22.43 ID:aH7Hxcpfo

 高校時代のノート以外にも、書き物は見つかった。

 しかしそれはお母さんがこの松実館で働いていた頃、常連さんとやり取りした手紙だけだった。

以下略



20: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:52:23.61 ID:aH7Hxcpfo

 私たちは、もっとはっきりとした何かが欲しかった。

 一番期待していたのは日記のようなものだった。

以下略



21: ◆CVF0ZO0wUo[saga]
2014/08/26(火) 23:53:25.61 ID:aH7Hxcpfo

 私だって、お母さんがお父さんの前に誰かとお付き合いしていたなんて、できれば想像したくない。

 でも、人に歴史ありって言うしね。

以下略



61Res/49.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice