74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 22:52:41.23 ID:Gqx9SXLWo
画面の中の私はまだ目を細めていて、
相変わらず正面を向けずに洗面台の上の歯ブラシを凝視していて、
おどおどと胸元を隠すように握ってたりして、
肩の線がやけに小さく見えて、
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2014/08/30(土) 22:54:54.67 ID:Gqx9SXLWo
わかるかな、紙のバネ。
ストローの細長い紙袋2本を直角に重ねて、
互い違いに折り込んで作る、
76:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 22:57:08.11 ID:Gqx9SXLWo
捨てようとしてた私の紙屑は、澪のと重なって一つの形をなしていた。
伸ばしてみると少しずつねじれて、
まるで DNAのらせん構造 のように
77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 22:59:21.53 ID:Gqx9SXLWo
ごごご、とストローをすする音が聞こえた。
見たら澪が、私の水コーヒーを飲み干してた。
「あ、ばか、それまずいんだから捨てようと、」
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:01:34.85 ID:Gqx9SXLWo
たぶん、長い間ほっといたせいで分離してたんだ。
私は沈殿したコーヒーだけ飲んで、
澪は透明な上澄みを飲み干した。
79:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:03:48.27 ID:Gqx9SXLWo
両手で顔を持ち上げられた。
目に刺さる光の痛みが角膜を潤ませる。
そうだ、涙が出そうになったのはまぶしいからだ。
80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:06:01.72 ID:Gqx9SXLWo
「なに言ってんだよ、聡のやつ、私らのことバッチリ見て、」
「聡は何も見てない。何も知らない。
お母さんが、
81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:08:15.17 ID:Gqx9SXLWo
大丈夫だよ、って澪がいう。
もらった紙のバネを手のひらでつぶさぬよう指に力をこめたら、
まぶたの奥まで熱にひたされだした。
82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:10:28.67 ID:Gqx9SXLWo
◆ ◆ ◆
プラスチック製トレイの上に散らばった紙コップや
83:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 23:12:42.13 ID:Gqx9SXLWo
ほら、行くぞ、注文だと思われるから、
なんて手を引こうとしたのに
指先だけ触れたまま一歩も動けなかったのは、
私だってここを立ち去るのが名残惜しかったから。
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