過去ログ - エルフが奴隷に堕ちた理由を考えてみたりなど
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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:28:05.71 ID:q+P0GBGRo

 一つ目は大きい割に漠然としている。
 この旅路の先に残るものはあるのだろうか。
 時たま彼はそれを考える。

以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:28:51.02 ID:q+P0GBGRo

 いや、どうなるもこうなるもない。
 定住は難しくそれならば旅は続くところまで続く。
 そして続かなくなったところで死ぬ。何も残らない。

以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:29:29.10 ID:q+P0GBGRo

 何はともあれとりあえず言えるのは今は死にたくないということだ。
 ならば今日をしのいで生き続けなければならない。
 そしてここからが二つ目の悩みになるのだが、彼には残りの路銀がほとんどなかった。

以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:30:04.30 ID:q+P0GBGRo

 結局、と彼は自嘲する。
 旅路の果てに気をとられているうちに足元の石につまづくわけか。
 路銀については前々から不安に思ってはいたが打てる手もないままここまで来てしまった。
 現状をひっくり返す何かがない限りそう長くないうちに彼の命は終わる。
以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:30:37.13 ID:q+P0GBGRo

 妄想の縄に首を絞られて、それでも死ぬことができるはずもなく。
 彼はため息をついて立ち止まる。
 足が痛い。

以下略



11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:31:12.42 ID:q+P0GBGRo

 何かあるだろうと思っていた。
 事故か野盗に襲われたのかは分からないが、これほど大きな馬車ならば何か残っているだろうと考えていた。
 甘かった。

以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:32:00.94 ID:q+P0GBGRo

 元は何かの器だったと思しきいくつかの破片があった。
 それから価値のあるなしも不明な木彫りの像。
 汚れ破れていなければ上等だったろう毛織物のなれの果て。
 それらの物に統一感はなく、生活のための品というよりは売り物に見えた。
以下略



13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:32:33.17 ID:q+P0GBGRo

 彼はしばらくの間動くこともできずにそれを凝視した。
 緊張が体を縛ってしまっていた。

 賊がまだ残っていた?
以下略



14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:33:01.36 ID:q+P0GBGRo

 白い肌が彼の視線を吸い寄せた。
 埃に汚れてくすんでしまっているものの、その滑らかさを全て覆い隠せるほどではない。
 燐光を放つようなその頬の上を、それとはまた別の輝きを持つ金の髪が流れ落ちていた。

以下略



15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:33:31.28 ID:q+P0GBGRo

 睨むでもなく怯えるでもなく。
 それは彼を真っ直ぐに見据えていた。
 見るという行為から余計なものを全部削ぎ落とすとこういう視線になるのかもしれない。
 澄み切った水のような。
以下略



16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/08/30(土) 21:34:02.87 ID:q+P0GBGRo
つづく


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