11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/05(金) 22:00:33.19 ID:oVE2GZJBo
加蓮は、病室を出て、エレベーターホールへと向かいました。
その途中で、よく話しかけてくる患者さんとすれ違いました。
「加蓮ちゃん、背中、曲がってるわよ。私もこんな体だけど、しゃきっと歩くようにしてるんだから、若いあなたがそんなことではダメよ。がんばらないとね」と、その患者さんは言いました。
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2014/09/05(金) 22:04:58.50 ID:oVE2GZJBo
どこからか誰かの足音が聞こえます。看護師、医師、入院患者、お見舞い、……。
大きさの違う足音が四方から響き、世の中が動き続けていることを教えてくれます。
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2014/09/05(金) 22:08:23.08 ID:oVE2GZJBo
ある日の夜、加蓮は消灯時間を待ちながらテレビを見ていました。
本当はそのつもりもなかったのですが、あまりにもやることがなくなってしまったのです。
ちょうど、歌番組が放送されていたので、それにチャンネルを合わせました。
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2014/09/05(金) 22:13:14.37 ID:oVE2GZJBo
「失礼します。加蓮ちゃん、さっき血圧測れなかったから測ろうか」
看護師さんが部屋に入ってきましたが、加蓮は一向に気づきません。
肩をとんとんと叩かれて、ようやく気づきました。
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2014/09/05(金) 22:17:57.57 ID:oVE2GZJBo
「どうしたの?」
「あ、いや、やっぱり……」
「ゆっくりでいいよ」と、看護師さんは言うと、加蓮のベッドまでやってきて、目線まで腰を落としました。
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2014/09/05(金) 22:21:50.57 ID:oVE2GZJBo
加蓮は、ゆっくりと一つ息を吐きました。
加蓮は、看護師さんに話を聞いてもらえたからか、穏やかな気持ちでした。
患者としてでなく、一人の人として心配してくれているようにも感じられ、嬉しくなりました。
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2014/09/05(金) 22:23:41.82 ID:oVE2GZJBo
数日後、加蓮が退院をする日が確定しました。
しかし、あの看護師さんが加蓮の部屋へとやってくる時はまだ訪れていません。
退院前日の午後、ようやくその機会が巡ってきました。
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2014/09/05(金) 22:29:09.61 ID:oVE2GZJBo
「目標を、その日ごとに決めてみるというのはどうかな?」
「目標……?」
「そう。その日の体力に合わせて、これだけは絶対にしようということを決めてみるの。もちろん、無理はいけないから体調が悪くなったら、その都度休憩したり目標を変えたりして、そこら辺は臨機応変にね」と、看護師さんは言いました。
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/05(金) 22:31:23.31 ID:oVE2GZJBo
加蓮は、胸のつかえが取れていくのを感じました。
「ありがと。アタシ、勝手に難しく考えてただけなのかも」と、加蓮は言いました。
「応援、してるからね」と、看護師さんは言いました。
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2014/09/05(金) 22:37:22.74 ID:oVE2GZJBo
その日、加蓮は家に帰ると早速お母さんにもらった名刺を見せてみました。
名刺をもらった事務所は、お母さんでも知っているような有名な事務所です。
加蓮は、お母さんの反応が楽しみで、少しそわそわしています。
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