4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:50:35.99 ID:Sg9+rzdu0
確かに、長距離を漕いでいるのも、そろそろ弱音を吐きたいのも――でも、目的地まであと少しなのも事実。かれこれ三十分以上漕いでいれば、もう、車も時折しか見掛けないような、街灯すら殆ど無いような道になってしまって。
下見の時は明るかったから、速く感じた一本道も、今はどうにも長く感じるような。
もともと暗いのは苦手だし、ああ、本当にオバケの国に辿り着いたり――?なんて、じわりじわりと滲むように広がりかけた不安を破って言葉を紡いでくれるのは、花陽だった。
花陽「――そうだね、ハロウィーンの夜だし、かぼちゃのライトとかあったらそれっぽいねぇ。……オバケの国には行きたくないけれど」
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:51:22.73 ID:Sg9+rzdu0
人知れずほう、と息を吐いた。からからと笑いながら凛が言っているのは、昨日、無計画もいいところで昼休みから放課後続けて行った、μ'sハロウィーンパーティーの話、でしょうね。
パンプキンランプをどう勘違いしたのか、お化け提灯を持ち死に装束で表れた海未により、危うくエリーに間違ったハロウィーンがインプットされる惨事に陥りかけたりとか、和菓子ばっかり持ってきた穂乃果のせいで部室内が緑茶の香りに包まれたりとか、また、そんな和な雰囲気に調子に乗った希が、その流れで日本の怪談話なんて始めたりして――ああ、思い出したくもない!
別の意味でぶるりと肩を震わせれば、丁度段差に乗っかったのか、ガタンとかごの中の箱が跳ねる。仲良くね、とこれを託してくれた穂乃果の顔が脳裏をよぎった。三人で仲良くね―――なんて。折角誘ったのに。なんで、断られちゃったのかなあ。
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:52:30.74 ID:Sg9+rzdu0
凛「……………ねえ、真姫ちゃん」
ふと遠く。ぼうっと、街灯でない灯りが見えた。脳内の考え事が、みんなその光りに溶けていく気分。
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:53:57.07 ID:Sg9+rzdu0
凛「ほ、本当にここどこ?ねえ、真姫ちゃんかよちん――」
キョロキョロと、辺りを見渡しながら。心細そうな声に、何かしてあげられるわけでもないから―――取り合えず大丈夫よ、と私は微笑んでみせる。
それでもなお、でも、と頼りない声で狼狽える凛に、あまり不安がられても困ってしまうしどうしたものかと毛先をいじくっていれば。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:55:16.70 ID:Sg9+rzdu0
建物の看板を見れば直ぐに分かったらしい。ぽつりと呟く凛の声。
凛「ぷらねた……りうむ」
真姫「……すみませーん」
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:56:05.88 ID:Sg9+rzdu0
薄暗い灯りに包まれた場内の、特等席に凛をエスコート。さっき手を繋いだ順に、普通よりも傾き気味なふかふかの椅子に腰かけ、先ずは告げてなかった一言を。
真姫「凛」
花陽「凛ちゃん」
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:56:45.99 ID:Sg9+rzdu0
真姫「あ、でも――フライングで、これは渡してくれって。穂乃果から。学校に持っていくには大きすぎるからって」
花陽「私それ気になってたんだ!開けてみて凛ちゃん!」
凛「わ、何かにゃ何かにゃ?」
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:57:13.29 ID:Sg9+rzdu0
真姫「………でも、穂乃果やエリーも来てくれれば………」
口に出してからしまったと思ったけれど、もう遅い。花陽が、ぽつりと相槌をくれる。
花陽「………確か、断られちゃったんだよね?」
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/01(土) 23:57:52.34 ID:Sg9+rzdu0
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2014/11/02(日) 00:00:22.65 ID:bAwQRq8b0
「「「―――へ?」」」
こんなの―――聞いてない。
思わず揃ってぽかーんとしていると、入れ替わり立ち替わりに、色々な聞き慣れた声が聞こえてきた。
19Res/12.17 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。