過去ログ - もしもプラチナスターライブシーズン2でPがエターナルハーモニーばかり構っていたら
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2014/11/25(火) 23:17:14.37 ID:YW2lEbZco
志保 「小鳥さん、……えっと、最上さんの自宅の住所って分かりますか?」
小鳥 「もちろん分かるけれど……」
志保 「その、クレシェンドブルーでごたごたを起こしてしまったことはもう耳にしているかと思います。それを最上さんに謝りたくて」
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2014/11/25(火) 23:18:38.70 ID:YW2lEbZco
私の旧姓――つまり、父親の苗字が「最上」だったからと、事務所の同姓の人とつながりがあるかも、なんて短絡思考にも程がある。
私の母は父に当たる人のことをあまり話してはくれなかった。古い写真がひた隠しにされていたのにも理由があるだろう。
私が知っている父の情報は、弟が生まれる前後に母と離婚して家を出て行ったことぐらい。旧姓ですら先日知ったばかりだ。
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2014/11/25(火) 23:20:19.39 ID:YW2lEbZco
教えてもらった住所は隣県にあるタワーマンションのものだった。
首を見上げてしまうような建物が並ぶ地区で、最も高い建物。その上層階が目的地だった。
アポは取っていない。不在であれば日を改めよう。そう考えながらエントランスでメモに記された部屋番号を入力した。
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2014/11/25(火) 23:21:37.14 ID:YW2lEbZco
最上父 「アレは自室に鍵をかけたがる子でね、すまないがリビングで待っていてもらえるだろうか。飲み物でも出そう」
志保 「すみません、お構いなく……」
出迎えてくれた男性は40歳を越えたかどうかという風貌で、帰宅して間もないのかワイシャツを着崩した姿だった。
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2014/11/25(火) 23:23:14.88 ID:YW2lEbZco
私の父親かもしれない男性については、物心つく前に両親は離婚してしまったから声や容姿は覚えていない。
手がかりは少ない。目の前にいる男性が父親である確率は何千分の一だ。他人である可能性のほうがよっぽど高い。
ならば臆せず本題に入ってしまおう。奇天烈な人間と思われるのならそれでいい、それはつまり他人同士なのだから。
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2014/11/25(火) 23:26:04.46 ID:YW2lEbZco
一分とも十分ともとれる沈黙が続いて、ようやく、男性が口を開いた。
最上父 「やはり、そうなのか。しばらく見ないうちに大きくなった」
志保 「―――!!」
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2014/11/25(火) 23:27:39.77 ID:YW2lEbZco
志保 「本当にあなたが……私の父なんですか……?」
最上父 「いやに驚いているようだが、きみの母からの差金でここを訪れたんじゃないのか?」
志保 「いえ……本当に偶然で……」
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2014/11/25(火) 23:28:54.53 ID:YW2lEbZco
最上父 「きみの家が苦労をしていることは知っていたが……きみがその歳で働きに出なければならないほどとは思っていなかった」
最上父 「きみの母が私を許してくれるかはわからない。せめてもの償いとして金銭だけでも受け取ってもらえないかと思っている」
私や弟がたまに口にする、父親に会いたいという言葉は母にどんな想いを抱かせていたのだろうか。
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2014/11/25(火) 23:30:11.50 ID:YW2lEbZco
最上父 「アレもそろそろ帰ってくる時間だが、会っていくかね?」
志保 「……いえ。本当の用事はこっちでしたので」
最上父 「なるほど」
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2014/11/25(火) 23:31:30.89 ID:YW2lEbZco
どっしりとした落ち着きのある語気。私のことを真剣に考えてくれている声色。心臓を貫かれたような衝撃が走った。
私の名を呼ぶ声に、たまらず脚が止まった。ファンの人が私を呼ぶそれとは比べ物にならないほど心に染み渡った。
「おまえは、これまで弟や家族の前ですら、人に甘えるなんてことをしてこなかっただろう」
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2014/11/25(火) 23:32:17.94 ID:YW2lEbZco
男の人の腕の中に収まるなんて、アイドル活動中にすらしたことがない。
まして、父親の腕の中なんて、夢の中でですら実現し得なかった。
そんなどこか空想の向こう側だった世界が現実になっている。何年も何年も憧れた世界が今ここにある。
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