過去ログ - 海未「夜の果てへと旅立ったあなたへ」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:16:05.60 ID:2hBFblv8o

 また、届かないだろうな、と諦めは心の内にありました。

 それでも、
 私の人生の晴れ舞台には顔を見せてほしかったのですが、それも難しいのでしょう。
以下略



3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:16:41.94 ID:2hBFblv8o

『海未ちゃんが一番なんて、ちょっと意外だったかな』

 おとついの夜、彼女は酒に顔を赤らめてそんなことを言いました。

以下略



4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:17:18.28 ID:2hBFblv8o

 唇を刺すほどの熱もゆるみ、薫り高い苦みが喉を潤していきます。
 湯気の立ち上る天井は、
 外が薄曇りで陰っているせいでしょうか、切れかけた照明の光もやけに低く感じられます。

以下略



5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:17:54.68 ID:2hBFblv8o

 あの夜、あの子が見ていた景色はどうだっただろうか。

 ……こうして畳に寝転がるたび、同じ格好をしていたいつかのあの子を思い出します。

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6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:18:31.01 ID:2hBFblv8o

『赤の他人のくせに、よけいなこと言わないでよ』

 あの子は母にそんなことを言ったそうです。
 あの夜、それを聞いた時、
以下略



7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:19:07.36 ID:2hBFblv8o

 高校三年の夏ごろ、雪穂に高坂家の秘密を打ち明けられました。

 あの子が夏風邪をこじらせて授業後に倒れた日の夜、
 二人でおかゆと氷枕を支度する合間のことでした。
以下略



8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:19:43.68 ID:2hBFblv8o

 畳の上でぽっかり空いた場所を眺めていると、最後の日の声が聞えてくるようです。

 海未ちゃん、叱ってよ。
 私のこと、愛する娘を奪って逃げてこうとか考えちゃう、最低な私のこと。
以下略



9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:20:19.99 ID:2hBFblv8o

『海未ちゃん、ありがと。 ……ごめんね』

 妹の雪穂と共に蒸発する前夜、穂乃果はそう言い残してこの部屋を出ました。

以下略



10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:20:56.30 ID:2hBFblv8o

 また明日、お話しましょうね。
 絶対ですよ、と玄関先で掴んだ手はとうに冷え切っていて、
 穂乃果は、あははと笑って、返事を避けました。

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11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:21:32.63 ID:2hBFblv8o

 時はめまぐるしく過ぎていきます。

 気づけば凛たちも大学を卒業する頃で、
 ことりは表参道とフィレンツェのオフィスを往復する日々、
以下略



12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/01(月) 14:22:08.94 ID:2hBFblv8o

「――みちゃん、海未ちゃんっ!」

 懐かしい声が聞こえて、目をさましました。
 ぼやけた焦点が少しずつ合わさると、
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