過去ログ - 許嫁「愛していると言えますね?」
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1: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:43:57.32 ID:oOlmUUNN0
◇夜 自宅
許嫁「お帰りなさい。今日は部活が終わるの、遅かったんですね」
男「大会の前だからな。悪かったよ」
許嫁「いいんですよ。私、あなたをこうして待っている時間も楽しいんです」
許嫁「どんな顔して帰ってくるのかなって、想像しているとわくわくします。そういうことって、男さんはありませんか?」
男「俺はないなあ。想像力が貧困なのかもな」
許嫁「そんなことはないと思いますけどね」
許嫁「ところで、そろそろ恒例の質問をしますけど、おかえりのキスをしましょうか?」
男「毎度の返事をするけど、しないって。許嫁だからって、その関係に甘えたりはしない」
許嫁「私はいいんですよ? 唇や、心や、体を求められても」
男「……付き合ってるわけじゃないんだ。そういうことをするのはおかしいだろ」
許嫁「一緒に暮らしているのに?」
男「うちの親父や、許嫁の父親が勝手に盛り上がってるだけだよ。状況に流されるつもりはない」
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2: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:44:41.66 ID:oOlmUUNN0
許嫁「ふふ、男さんって律儀ですよね。そういうとこ、とても好ましいです」
男「……そろそろ着替えてくるよ。夕飯、いつもありがとな」
3: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:45:45.91 ID:oOlmUUNN0
◆夕方 教室
女「男くん……」チュ、、、
4: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:47:04.33 ID:oOlmUUNN0
男くんが部活を終えた後、ほんの一〇分くらいの短い逢瀬。
わたしと男くんは中学の時から両思いで、一年生の頃には内緒で付き合っていた。始めてのデートは映画館で、今でもくすぐったい思い出だ。
5: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:48:13.58 ID:oOlmUUNN0
◇自宅
許嫁「今日、父から連絡がありました」
6: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:49:31.74 ID:oOlmUUNN0
男「そういう、わけじゃ……」
許嫁(女さんのことを打ち明けられない。それは打算っていうんですよ、男さん)
7: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:50:47.04 ID:oOlmUUNN0
◆昼休み 教室
男友「羨ましい限りだ、おまえは今日も愛妻弁当かよ」
8: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:51:47.78 ID:oOlmUUNN0
女友「だからって、ちゃんと褒めてあげなさいよ? 女の子って、そういうとこを気にしてるんだから」
男友「がさつな女友でさえそうなら、男はより一層の気を使ってやらなきゃな」
9: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:52:59.23 ID:oOlmUUNN0
ここ最近のわたしはずっと、他人の不幸を願っている。
男くんか許嫁さん、どちらかの会社が倒産しないかな、とか。
10: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:53:54.64 ID:oOlmUUNN0
◇夕方 教室
許嫁「女さん、誰かと待ち合わせですか?」
11: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:54:47.45 ID:oOlmUUNN0
許嫁「そうですか。残念ですね」
女「ごめんね? 男くんなら、きっともうすぐ来ると思うよ?」
12: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:55:36.75 ID:oOlmUUNN0
許嫁「気にしていましたよ。好きな人でもいるのかな、と」
女「そういうんじゃないの。同じことをまた話してたら、女友ちゃんにもそう言ってくれる?」
13: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:56:38.85 ID:oOlmUUNN0
◆夜 料亭
許嫁父「ところで男くん、娘はしっかりやれているかな?」
14: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:57:26.08 ID:oOlmUUNN0
許嫁父「事実かな?」
男「それは、本当です」
15: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:58:29.61 ID:oOlmUUNN0
許嫁父「――――ここからは、親の欲目としての話でもある」
許嫁父「もし男くんにその気がないなら、結婚は破談で構わない」
16: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 21:59:31.71 ID:oOlmUUNN0
どうしよう、どうしようと頭の中が混乱で一杯になっている。
布団に入って、頭まで毛布をかぶって、それでもちっとも眠れない。
17: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 22:00:44.40 ID:oOlmUUNN0
◇昼休み 放送室
許嫁「これよりお昼の放送を始めます。BGMは、三年の先輩さんリクエストの『THE END OF THE WORLD』です」
18: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 22:01:58.97 ID:oOlmUUNN0
許嫁「学校での様子を知る方はいるでしょうから、家の中での様子について話させていただきますね」
許嫁「実は男さん、テレビの前でじっとしているのが苦手な人なんです」
19: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 22:02:43.85 ID:oOlmUUNN0
◆夕方 教室
女「男くん、映画を見るのが苦手だったんだね……」
20: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 22:03:41.63 ID:oOlmUUNN0
男「変なこと言うなよ。それより、もうほとんど時間ないぞ」ギュッ
女「うん……」
21: ◆AYcToR0oTg[saga]
2014/12/13(土) 22:04:52.29 ID:oOlmUUNN0
許嫁「まだ女さんに伝えていませんでしたか? 高校を卒業して、それでも気持ちが変わらないなら、婚約は破談になるんだと」
女「!?」
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