59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:28:35.60 ID:DL0z8tZuo
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事務所から出るとすでに陽は沈んでいて、街灯とアスファルトに残った雪だけが白く浮かんでいる。
空に雲の濁りはなく、だけれど星も見えず、水槽の底を歩いているような気分にさせられる。
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2014/12/20(土) 07:29:11.34 ID:DL0z8tZuo
「私もチョコは溶かして固めただけだよ」
「まあ、そうかもしれないけど」
「それに、忍ちゃんはみんなにあげていたし」
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2014/12/20(土) 07:29:37.37 ID:DL0z8tZuo
「……喜んでもらえてよかった」
私が確認するように呟くと、忍ちゃんは頷いた。
「本当によかった」
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2014/12/20(土) 07:30:19.59 ID:DL0z8tZuo
「わかんない。けど、辞めないで、まゆちゃんをプロデュースするって決めたんだと思うな」
「私をプロデュースするから……」
喉元に赤黒い煙が固まったような息苦しさを感じた。
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2014/12/20(土) 07:30:49.41 ID:DL0z8tZuo
――――
結露した窓の表面をなぞると、指が冷たく濡れた。
露が剥がれたその下に暗い路が覗いている。
64:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:31:25.40 ID:DL0z8tZuo
「懐かしいな」
「……ヘビメタですか?」
「そうだね。正統派ヘヴィメタル」
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2014/12/20(土) 07:31:51.12 ID:DL0z8tZuo
「……そう言えば、プロデューサーさんはクイーンは好きですか?」
「まあ、好きかなぁ。佐久間さん、好きなの?」
「忍ちゃんに教えてもらって……」
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2014/12/20(土) 07:33:20.04 ID:DL0z8tZuo
「ポリスだと……トゥルース・ヒッツ・エブリバディが好きだな」
「私はソーロンリー、あとエヴリ・ブレス・ユー・テイクも好きです」
「『見つめていたい』かぁ。あいつも好きだって言ってた」
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2014/12/20(土) 07:34:08.57 ID:DL0z8tZuo
「編み物は?」
プロデューサーさんは傍に置いた赤いマフラーを指差した。
「工藤さんも、喜ぶと思うよ」
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2014/12/20(土) 07:34:52.70 ID:DL0z8tZuo
「着いたよ」
プロデューサーさんの声にはっとなって、私は目を上げた。
いつの間にか、事務所の傍にある駐車場へ車が停まっていた。
シートベルトを外して助手席から降りると、冷たい空気に抱きすくめられる。
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