2:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:18:53.85 ID:KvG+T8iK0
「おい、橙子いるか」
「んー、なんだ式か。今日は休みだぞ」
3:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:20:44.15 ID:KvG+T8iK0
「家は堅苦しくて嫌なんだ。幹也の所へ行ってもよかったが、鮮花に噛みつかれるのはのは嫌だからここに来た」
橙子は口から煙草を離し、背もたれに背中を任せて天井を向いて煙をゆっくりと吐いていく。
4:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:21:59.91 ID:KvG+T8iK0
「式。人ってのは何のために年を迎えるんだろうな」
いつも通り素っ頓狂な質問をしてきやがった。
5:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:24:09.69 ID:4OaaFOLAO
空の境界とは珍しい
6:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:24:15.97 ID:KvG+T8iK0
どうやらこちらの意図を察してくれたらしい。黒桐だったらもうちょっと付き合ってやっただろう。アイツは誰に対しても虫がよすぎるんだ。
「だからな、ここの事務所の名前は『伽藍の堂』だぞ。こんなにも年末を迎えるのにふさわしい場所はないと思わないのか?」
7:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:25:43.22 ID:KvG+T8iK0
『ん、家族団欒の最中すまない黒桐。悪いがちょっと急な仕事が入ってね。事務所まで来てくれないか。何、すごく簡単な仕事だ。ただちょっと先方が気難しい方でね。お前に一任しようと思う。ああ、急がなくていいぞ。そうだな。三時間後ぐらいがいいな。――分かったって給料はちゃんと払うよ』
8:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:26:31.89 ID:KvG+T8iK0
あの日片割れを無くした私の間を埋めたのはアイツだった。
いつからだろうか。アイツを殺したいと思い始めたのは。
9:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:27:40.98 ID:KvG+T8iK0
目が覚めると、見知った天井だった。
ヤニの臭いは消え、代わりに珈琲の匂いが事務所には漂っていた。
10:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:29:05.62 ID:KvG+T8iK0
「お前、家にいたんじゃないのか」
「ん?そうだったんだけど、橙子さんが仕事が出来たっていうから来たんだけど特に何もなくてさ。着たら式がいてこのまま帰るのも申し訳ないからね」
11:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:29:53.04 ID:KvG+T8iK0
どうせだ。少しぐらい羽を伸ばしたって許されるさ。
人間は都合のいい記憶しか残らないんだ。それならいつか問い詰められたって恍けてしまえばいい。
12:名無しNIPPER[sage]
2014/12/31(水) 20:31:34.75 ID:KvG+T8iK0
外は雪が積もってはいるが、もう止んでいた。
ただ目の前に広がるのは誰も足跡をつけていない白い道。
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