197: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/10(火) 23:52:38.82 ID:ctH0niqQ0
 ――――――――――― 
  
 結界の中は、文字通り白と黒のみで作られた世界だった。 
  
 魔女は、無造作に転がる人々を捨て置き、侵入者には眼もくれずに、ただなにかに祈りを捧げていた。 
198: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/10(火) 23:53:40.27 ID:ctH0niqQ0
 まずは、様子見で弾丸を一発。 
  
 魔女は、その祈りの姿勢を崩さぬまま、地面から生やした影で弾丸を弾き落とした。 
  
 それから、なんどか小技で牽制してみるが、同じことの繰り返し。 
199: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/10(火) 23:54:25.29 ID:ctH0niqQ0
 ―――なんで、あなたがそんなことをしなくちゃならないの? 
  
 マミ「......」 
  
 ―――ひょっとしたら、ここの人たちも佐倉さんたちを殺した人たちと同じかもしれないんだよ? 
200: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/10(火) 23:58:01.79 ID:ctH0niqQ0
 物陰から姿を現し、魔女へと駆けだす。 
  
 もちろん、魔女はそれに対して攻撃をしかけてくるが、寸でのところで躱しながら距離を詰めていく。 
  
 策でもなんでもない、ただの強行突破。 
201: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/10(火) 23:59:56.71 ID:ctH0niqQ0
 「パパ...パパ?」 
  
 声のした方へ、ちらりと視線を移す。 
  
 この結界に取り込まれていた一人の少女が、目を覚ましたようだ。 
202: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:01:04.83 ID:cf5Xup4D0
 突如、耳に届いた苦悶の声。 
  
 振り向くと、そこで行われていたのは、一方的な虐待。 
  
 先程パパと呼ばれていた男性が、虚ろな目でなにかブツブツと言いながら、己の娘の首を絞めているのだ。 
203: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:02:04.93 ID:cf5Xup4D0
 ―――そうやってあなたは、あの人を殺した。 
  
 そうだ。あの時もこうやって... 
  
 ―――あの時、包丁だけを狙っていればあのひとは死ななかったのに。 
204: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:02:46.61 ID:cf5Xup4D0
 生き延びたかった... 
  
 ―――そうよ。あの時、彼を殺さなければ、モモちゃんの次に自分は殺される。だから殺したのよ。 
  
 私は...自分のために... 
205: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:04:12.10 ID:cf5Xup4D0
 かけられた声に、我を取り戻す。 
  
 気が付けば、影は私の下半身を呑み込み、腹部にまで浸食を始めていた。 
  
 声がした方へと視線を戻す。 
206: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:05:02.71 ID:cf5Xup4D0
 ――――――――――――――――― 
  
  
 魔女の結界が消え去ると、先程の少女と男性は再び気絶していた。 
  
207: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:05:50.41 ID:cf5Xup4D0
 まどか「ごめんなさい。実はわたし、マミさんのあとをつけていたんです」 
  
 マミ「...なぜ?」 
  
 まどか「マミさんが心配だったからです」 
208: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:07:48.25 ID:cf5Xup4D0
 突然の怒気の籠った言葉に、つい狼狽えてしまう。 
  
 マミ「鹿目さん...?」 
  
 まどか「なんで危険だってわかってて、ほむらちゃんを呼ばなかったんですか」 
209: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:10:58.19 ID:cf5Xup4D0
 まどか「わたし、キュゥべえから聞いたんです。佐倉杏子ちゃんのお父さんを、事故とはいえ殺してしまったって...」 
  
 まどか「マミさんには、その事実を忘れてほしくないし、償いだって続けてほしい」 
  
 まどか「でも、それと自分を蔑ろにすることは全然違います!わたしは杏子ちゃんを知らないけれど、杏子ちゃんだって、マミさんが死ぬことなんて望んでないことくらいわかります!」 
210: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:13:30.99 ID:cf5Xup4D0
 鹿目さんは、こんな私のために涙を流し、あそこまで言ってくれた。 
  
 彼女の頭を撫でると、その温もりを感じられた。 
  
 マミ「ありがとう、鹿目さん。あなたのお蔭で目が覚めたわ」 
211: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:14:30.02 ID:cf5Xup4D0
 コソリ 
  
 ほむら「...完全に出そびれたわ」 
  
 まあ、あの様子なら巴さんももう大丈夫だろう。 
212: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:16:07.68 ID:cf5Xup4D0
 ********************** 
 回想 
  
  
 まどか「...それは、本当なの?」 
213: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:17:08.09 ID:cf5Xup4D0
 まどか「えっ?」 
  
 QB「僕は懸念していたんだよ。マミと関わり続ければ、いずれはこの事実に辿りつくこととなる。その時に、その事実だけで拒絶されれば、彼女もたまったものじゃないからね」 
  
 QB「だから、早めに答えを出してほしかったんだ。マミとどんな関係でいるかをね」 
214: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:18:05.98 ID:cf5Xup4D0
 QB「と、いった感じだよ」 
  
 ほむら「...あなた、なにが目的なの?」 
  
 QB「だから言ってるじゃないか。僕は、マミに死んで貰いたくないだけだって」 
215: ◆do4ng07cO.[saga]
2015/03/11(水) 00:18:37.46 ID:cf5Xup4D0
 今回はここまでです。読んでくれた方はありがとうございます。 
216:名無しNIPPER[sage]
2015/03/11(水) 03:19:52.69 ID:dB4LxLb5o
 乙 
217:名無しNIPPER[sage]
2015/03/12(木) 13:20:36.76 ID:1IWDrivwO
 乙 
 マミさんが魔女化せず心中したりするのを防ぐためとかか? 
 あるいは全員が共通して絶望し得る何かを探しているのか…… 
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