82:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 21:59:51.30 ID:sdjP5j9j0
高架橋の上を走る電車が、吸い込まれるように駅に走ってきては、
吐き出されるように去っていく。
その繰り返し。
83:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:00:25.94 ID:sdjP5j9j0
よくわからないけれど、生きていれば否応もなく選ばなきゃいけない瞬間というものがあるんだと思う。
T字路にぶつかったとき、右に行くのか左に行くのか。
後戻りもできない。前へも進めない。
84:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:01:04.45 ID:sdjP5j9j0
「両方ともウソなのかもしれないよ」
「ちがう」
85:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:02:01.71 ID:sdjP5j9j0
澪ちゃんの言う通り、もしかしたら本当のことはひとつじゃないのかもしれない。
けれど、選ばれなかった方は選ばれなかったことをもって本当のことじゃなくなってしまう。
もっと怖いのは、何も選ぶことができず、曖昧な態度を取り続けているうちに、
86:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:02:45.78 ID:sdjP5j9j0
眠り込んだ女の子を背におぶって、
白い息を吐きながら駅に向かう男の子。
ドタン、という音ともに男女のちいさな悲鳴が聞こえて振り返る。
87:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:03:32.28 ID:sdjP5j9j0
「終電、か」
右手につけた時計を見ながら、澪ちゃんが言う。
88:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:04:00.78 ID:sdjP5j9j0
澪ちゃんは「じゃあな」と言って左手を上げた。
わたしも「じゃあね」と言って左手を上げた。
89:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:04:50.33 ID:sdjP5j9j0
「ムギ」
「あれ?どうしたの?電車、間に合わなくなるよ」
90:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:05:40.59 ID:sdjP5j9j0
さみしいなんて呟いて、
あなたに重荷を背負わせたくないわ。
…ちがう。ただ重い女だ、って思われたくないだけのいい子ぶりっ子してるだけ。
91:名無しNIPPER[saga]
2015/01/14(水) 22:06:37.22 ID:sdjP5j9j0
ロミオはジュリエットの元へ、駆けてゆく。
ああ、ロミオ。
あなたはどうしてロミオなの?
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