過去ログ - ロシアンルーレット
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17: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:27:43.05 ID:xhFcsLfTo
それからは日雇いのバイトで食い繋いだ。

父の貯金は上京前にある程度引き出したものの、頻繁にやっては居場所がばれる。

幸いにも半年ほど働いた工事現場の監督が「何ならうちで働くか?」と言ってくれ、
以下略



18: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:28:20.83 ID:xhFcsLfTo
正社員として働き出して一年。

仕事帰りに「今日は良い所に連れてってやる」と言われたのが人生の分水嶺であった。

監督に連れられて足を運んだのは、いかにも高級そうな風俗店であった。
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19: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:29:14.90 ID:xhFcsLfTo
ボーイに連れられ、小奇麗な待合室に通された。

すぐさまビールが出されたが、Bは手を付ける気になれなかった。

いくら請求されるか知れたものではない。
以下略



20: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:02.77 ID:xhFcsLfTo
低頭するボーイの横を通り、店の奥へと導かれる。

そしてその女と出会う。

二階に上がる階段の前、赤いシルクのワンピースに身を包み、彼女はそこに立っていた。
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21: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:30:45.05 ID:xhFcsLfTo
彼女はゆっくりと近付き、細い両腕をBの首へ回した。

すっと顔が近付いたと気付いた時には、呆けて開いた唇にねっとりとした熱いモノが滑り込んでいた。

こじ開けられた口の中で、それは舌全体を撫でまわすようにゆっくり、大きく動きだす。
以下略



22: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:31:30.13 ID:xhFcsLfTo
その後の顛末は記憶に無い。

全てを彼女に委ね、夢と現(うつつ)をさ迷い続けた。

押しかかる彼女の自重すらも、享楽に溺れた体の前には甘美な刺激となって襲いかかる。
以下略



23: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:32:18.46 ID:xhFcsLfTo
Bの給料では月に一度が限度だった。

六万という金額は、正社員になったばかりの身には余りに重い。

捻出するには、食費や光熱費を削らなければならない。
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24: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:33:13.12 ID:xhFcsLfTo
彼女に会う回数は、月を重ねるごとに増えていった。

もちろん給料だけでは足りず、日雇い時代に貯めた貯金は全て使った。

父の貯金も底をついた。
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25: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:34:00.14 ID:xhFcsLfTo
法外な金利は瞬く間に膨れ上がり、最早Bには利子すら返済する力もない。

火の車は早々に車輪が焼け落ちた。

取り立て屋に締め上げられながら「マグロでも獲るか?」と言われたその時、
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26: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:34:53.43 ID:xhFcsLfTo
次の漁までいくらかの猶予があった。

Bは逸る気持ちを押さえて六万円を握り締め、彼女の待つ店へ疾走した。

が、
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27: ◆KpPu4lHfcc[saga]
2015/02/08(日) 20:35:38.68 ID:xhFcsLfTo
Bの足は、港と反対へフラフラと歩き出していた。

戻る気がしなかった。

元より逃げられる気はしないが、何もかもやる気が失せてしまった。
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