過去ログ - 櫻子「めぐみの雨と、恋で咲く花」
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61:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:02:23.15 ID:JxUSEnW0o
撫子のいる場所から私のもとまで、どう考えても終電に間に合わないのではないか?
けれど、撫子はいつだって本気だ。
62:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:03:38.88 ID:JxUSEnW0o
私の気持ちは妙にざわめいている。さっきまであんなに撫子に会うのが怖かったのに、今はそんな恐怖よりももっと違う感情が生まれては巡り回っていた。
撫子が来る。
63:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:04:06.50 ID:JxUSEnW0o
〜
桜の木の下には、まだ誰もいなかった。
64:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:04:45.05 ID:JxUSEnW0o
今までずっと、いないはずの撫子を探していた。人だかりを見れば、そこにいるはずのない撫子の姿を探してしまっていた。街に出れば、撫子と同じような服装をしている人を無意識に目で追いかけてしまっていた。
何度も夢見た、撫子の姿。
目を閉じればいつでも思い描ける。あの日あの時、一面の桃色の中にいた撫子。
65:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:05:15.44 ID:JxUSEnW0o
「……撫子?」
「…………」
66:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:05:42.22 ID:JxUSEnW0o
「来てくれたんだ。本当に」
「……うん」
67:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:06:29.87 ID:JxUSEnW0o
「わ、わたし……」
「…………」
68:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:07:16.80 ID:JxUSEnW0o
「私……好きな人なんか、作ってないよ」
「!」
69:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:08:00.97 ID:JxUSEnW0o
「終わりだなんて思ってない!! 終わらせようなんて思ってない!! 未練なんて言わないでよ……まだ終わってなんかないんだから!!」
「いつだって私は待ってる!! 撫子のためならいつまでだって待てる!!」
70:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:08:39.57 ID:JxUSEnW0o
雨がしとしとと二人を濡らす。夏の夜だが、雨のせいで少し寒くなっていた体に、温かい撫子のぬくもりを求める。
嗚咽にまみれた撫子の顔をあげて、唇を重ねた。
気づけば自分よりも激しく泣いていて、肩で乱れた呼吸をしている小さな口から、絶え絶えと息が漏れてくる。
71:名無しNIPPER[sage]
2015/03/30(月) 18:09:07.35 ID:JxUSEnW0o
「めぐみねーちゃん」
「…………!」
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