過去ログ - 京太郎「限りなく黒に近い灰色」
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224: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/04(月) 23:43:34.94 ID:QqIqU/St0
 ハギヨシの手助けで現世へと帰還した京太郎は龍門渕の中庭に立っていた。京太郎から少し離れたところにはディーがたっている。

そしてずいぶんぼろぼろになったスポーツカーが京太郎から離れたところにあった。スポーツカーの中には虎城もいて全員無事に戻ってくることができていた。
 
 無事とはいっても京太郎の格好はひどいものだった。ヤタガラスのジャンパーはぼろぼろ。ヤタガラスのエンブレムがついていた帽子は役目を果たし布切れになっている。またズボンもぼろぼろ、靴もほとんど原形をとどめていなかった。
以下略



225: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/04(月) 23:47:33.81 ID:QqIqU/St0

 ソックが京太郎の状況をつぶやくと、アンヘルが京太郎にたずねた。

「面倒ごとに巻き込まれたとはきいていますが、どういうことです? 私たち以外と契約を結べたのですか?」

以下略



226: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/04(月) 23:52:52.47 ID:QqIqU/St0
 普通の目に戻った京太郎が、少し考えてからソックの質問に答えた。

「組み手かな? そのくらいしかしてないと思う」

 嘘はついていない。京太郎にしてみれば、格上相手に遊んでもらったというくらいの感覚しかない。オロチの触覚がどのあたりから京太郎を見つめていたのかもわからないし、京太郎にどういう感覚で接しているのかというのもわからない。
以下略



227: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/04(月) 23:56:36.09 ID:QqIqU/St0

 そしていよいよ氷詰めの虎城を見つけ、ベンケイと出会い、松常久と逃走劇をはじめた話を京太郎は聞かせた。そうすると天江衣は

「花田のおじ様か! きっと面倒だとかいいながら動いてくれたのだろう。私のときもそうだったからな」

以下略



228: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/04(月) 23:59:53.45 ID:QqIqU/St0
 京太郎たちが汚れを落としに向かった後の話だ。中庭でハギヨシたちが会話をしていた。きしんでいるスポーツカーの近くにたっているハギヨシがこういった。

「ヤタガラス東京支部虎城班班長、虎城ゆたかさん。十四代目葛葉ライドウの指令を受け、松常久の内偵にあなたたちが参加していたのは確認しています。

 そして、内偵を担当していた構成員ひとりと、あなたの部下四名が行方不明になっているのも、同じく確認しています。
以下略



229: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:03:04.96 ID:py78Qnqv0
 ディーが構成員の生存を告げると虎城が顔を上げた。

「どういうことです?」

 やっと声を出している状況だった。虎城は自分の班員が生き残っているとは思っていなかったのだ。もちろん、生きていてくれるのならそれが一番である。しかし、油断しているところを強襲されたという事実が彼女の頭を悪い方向に考えさせている。
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230: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:06:24.77 ID:py78Qnqv0
 井上純の報告を聞いたハギヨシは十秒ほど黙っていた。そして冷えた声でこういった。

「あぁ、そういうつもりですか。はっきりとした証拠がないのと、先輩と私の立場が悪いのを利用しているわけですね。

 かつてヤタガラスの利益の幾つかをつぶした私たちが共謀して松常久を貶めようとしていると、そういうストーリーを作ろうとしているわけですか。
以下略



231: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:10:24.50 ID:py78Qnqv0
 松常久の延命についてハギヨシが推測をすると、虎城はこういった。

「十四代目は松常久を怪しいと思っていたはずです。内偵を進めたのもそのため。今回の一件で黒が確定したとみていい。逃げられるわけがない。無駄な足掻きのはず」

 虎城の指摘にハギヨシが答えた。
以下略



232: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:13:56.41 ID:py78Qnqv0
 パーティー会場に招待されているものたちの反応はいろいろだった。しかしほとんどの人は黙って聞いていた。わずかに鼻で笑っている人たちがいて、ほんの数人だけまったく違った行動をとっていた。

 会場のほとんどは、黙って聞いている人たちである。黙って聞いている人たちは同意しているから黙っているのではない。何がおきたのかさっぱりわからないから、話を聞いているのだ。いきなり始まった演説である。どういう流れの事件が起きているのか理解するために話を聞いていた。

 虎城やディーのように実際に襲われた人ならばすぐに嘘だとわかるだろう。特に松常久は悪魔に堕ちてしまっている。この事実だけでも、十分処刑される罪なのだ。
以下略



233: ◆hSU3iHKACOC4[saga]
2015/05/05(火) 00:17:55.60 ID:py78Qnqv0
 龍門渕透華と井上純が騒がしくしていると、パーティー会場が静まり返った。会場の出席者たちがハギヨシの出現に気がついたのだ。

 パーティー会場にハギヨシが姿を現したところで、空気ががらりと変わった。会場にいた者たちは動きを止めて、言葉を吐き出せるものはいなくなった。演説を行っていた松常久も生き残りの黒服三人も黙り込んで動けなくなっていた。

 それもそのはず、会場に現れたハギヨシから漂う空気があまりにも剣呑だった。今まで汗だくになって騒いでいた松常久の汗が一気に引いて、青ざめるほどである。ハギヨシから発せられている空気は非常にわかりやすい主張がこもっていた。
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