過去ログ - モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part12
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39: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:14:02.86 ID:HEFpIzrTo

「……うっ」

 久しぶりであった事にも起因しているだろうが、死体を見慣れていると自覚していたアーニャでさえ思わず吐き気を催す。
 昇ってくる胃酸をどうにか押しとどめて、倉庫内を見渡せばあちらこちらに血液の色材の元となった人間の肉片が目についた。
以下略



40: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:14:53.63 ID:HEFpIzrTo

 その人影はこの血濡れの倉庫に驚くほど馴染んでいて、それでいて外とは血濡れの倉庫以上に異質な容貌であった。
 背はアーニャより少し大きめの背。褐色がかった皮膚はインド圏の人種の女性であり、すらりとしたその姿とは対照的に両手が甲冑のような黒い装甲で覆われているのがわかる。
 何よりも目を引くのはまるで血雨を浴びたかのように全身が赤黒い血液に覆われており、その手には小さな肉片の付いたままの背骨らしきものを持ち、ぐるぐると振り回している。
 当然、体中にこびり付いた血液が、その女の物ではないことはほぼ確定的である。
以下略



41: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:15:50.88 ID:HEFpIzrTo

「ああ、これ?ごめんね散らかってて。今映画の撮影中でね。

驚かせちゃったかしら?」

以下略



42: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:17:08.93 ID:HEFpIzrTo

「……でもまぁ、こういうのもちょっといいかも♪」

 女がゆっくり拳を握ると、カチリカチリと音が鳴る。
 金属製と思われる義手の指関節の駆動音であろうが、その無機質な音はアーニャの鼓膜にするりと入り込んできて心をざわつかせる。
以下略



43: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:18:12.03 ID:HEFpIzrTo

「!?」

 アーニャはようやく状況を理解して、女から距離を取る。
 その過程で腕は一瞬であるべき姿に戻った。
以下略



44: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:19:10.67 ID:HEFpIzrTo

 アーニャはそれを何度か見たことがあった。ただし偽物であるが。
 隊長がそれを改変した技術として、念動力を腕に纏わせ、疑似的なダガーニスを実現させたのだ。
 最低限の念動力で、十分な殺傷力を生み出す技として、部隊内での超能力者にとっては必須技術だったのだ。

以下略



45: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:19:58.26 ID:HEFpIzrTo

 シャーデンフロイデという言葉がある。
 それは他者の不幸や悲しみ、苦しみに対して喜びや心地よさを感じるという感情である。
 『他人の不幸は蜜の味』。この女を表すならば、ただその感情を具現化させたような存在。

以下略



46: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:20:47.34 ID:HEFpIzrTo

 アーニャはそれをその場でしゃがんで回避。
 そのままがら空きである女の懐に向けて、右手のナイフを突き立てる。
 だがそれは振り上げられた女の膝によって方向をそらされた。そしてそのそらした腕にむけて女は手刀を繰り出す。
 それをまともに受ければ確実にアーニャの右腕は引き裂かれるであろう。
以下略



47: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:21:41.97 ID:HEFpIzrTo

「くっ!」

 アーニャはそれを右腕のナイフで防ぐが、膝で弾かれた際のしびれが残っていた。
 じりじりとアーニャの両手のナイフは女に押し負けていく。
以下略



48: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:22:21.36 ID:HEFpIzrTo

「……残、ネン!」

 だがそのナイフは女が先ほど防いだ腕の肘を上げることによって、ナイフは肘をギャリリという金属音を立てながらあらぬ方向へと逸れてしまった。

以下略



49: ◆EBFgUqOyPQ[saga sage]
2015/04/22(水) 02:23:10.98 ID:HEFpIzrTo

「あ……れ?」

 蹴りによる遠心力の中心となるべき体を失った片足は女の後方へと勝手に飛んでいく。
 アーニャが視線を下げれば、先ほど繰り出した蹴りである脚は存在しない。
以下略



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