567: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 21:40:18.78 ID:abxhPIPDO
「お待たせしました」
礼を告げながらライが戻ってくる。
568: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 21:49:47.18 ID:abxhPIPDO
「あ……いや」
気づかれるのは当たり前だった。ロイドはナイトメアの研究を精力的に行っていて、セシルはその助手だ。ならば、この環境におけるスザクの役割とは何か?
569: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 21:51:46.32 ID:abxhPIPDO
「スザク君にはここでテストパイロットをやってもらっているの」
「じゃあ、シミュレーターは……」
570: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:11:21.21 ID:abxhPIPDO
セシルとライは話しながら医務室に向かう。採血などの身体検査を行うためだ。
暗い室内に照明が灯り、椅子を進められたライが着席する。女性士官は張り切っていたが、注射器などがどこにあるか分からないらしく、にわかに慌て始めた。被験者はそれを静かに見ている。
571: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:12:37.69 ID:abxhPIPDO
あえなく四度目も失敗し、自分がやろうかとスザクが言い出そうか考えていると、ライは静かに左手で自分の右腕を指差し、
「……静脈はここです」
572: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:13:53.68 ID:abxhPIPDO
「結構、時間かかったね」
「そうだな。手間をかけさせてしまった」
573: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:15:11.37 ID:abxhPIPDO
「うん。良いと思う。それと、もう一つ話があるんだけど」
「なんだ」
574: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:17:29.47 ID:abxhPIPDO
「そうだね。僕は恵まれている」
だから、スザクも笑みを浮かべた。ルルーシュやナナリーにも隠している自らの懐にライを向かい入れる事に、僅かな危機感と大きな躊躇があった。
575: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:18:47.53 ID:abxhPIPDO
スザクはこの三週間で、過去のライが戦場に身を置いていただろう事を看破していた。
洗練された身のこなし、記憶の底より奥──神経に刻み込まれた重心移動。時おり見せる異常な危機察知能力。シミュレーターの件は駄目押しだった。
576: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/09/14(月) 22:20:08.17 ID:abxhPIPDO
「だが、君も分かるだろう。過去の僕が平穏な生活なんて送っていなかったことぐらい。引き寄せられているのが分かる。結局は……」
逃げられないと、ライはそう言った。理不尽を受け入れ、大切な物を手放すことすら許容している表情。それが酷く癇に障った。
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