853: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:11:17.65 ID:RQrE+LDDO
加えて、ライはあの性格だ。彼が色恋沙汰に関わるところは想像出来ない。シャーリーと一緒にいたのは多分、また買い出しか何かに付き合っていたからだ。後で訊けば正直に答えてくれるだろう。
だがどうしてか、気力が萎えるのは抑えられなかった。
854: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:12:21.12 ID:RQrE+LDDO
中には米を丸く握り、それを海苔で巻いたものが満載されていた。あれは日本の伝統料理である──おにぎりだ。
見慣れない料理をライはぼんやりと見つめており、何故かスザクはトラウマでもあるのか注意深く観察している。
855: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:14:45.59 ID:RQrE+LDDO
それが昼休みの出来事だった。変な気分を引きずったまま、今の今までぼーっと授業を聞いている。
人口密度はいつもより少ない。男子が別の教室を使用しているため、女子のみが残っている。
856: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:15:40.28 ID:RQrE+LDDO
シャーリーから目を離す。このまま彼女を見ていても自分に嫌気が差すだけだ。
なんとなく嫌な気分のまま時間は過ぎ、授業は終わった。
857: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:16:57.59 ID:RQrE+LDDO
「私は……あまりおしゃれについて詳しくないから」
控えめに言った。席を立ちたかったが、それを許さないほど強固な包囲である。うんざりとするカレンの様子に気づくことなく、彼女達の話は続く。
858: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:18:08.48 ID:RQrE+LDDO
少女達の体の合間から、シャーリーの姿が見えた。友人達と楽しそうに会話している。冗談を言い合い、悩みを共有する。カレンと違って服やメイクに関心があるし、恋をしている相手もいる。
それと比べて、自分を取り巻く環境の歪さときたら。これは彼女との差だ。今まで何もかも偽り、狡猾に騙し続けていたカレンと、八方美人と揶揄されながらも決して妥協しなかったシャーリーとの決定的で絶対的な差。
859: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:19:49.02 ID:RQrE+LDDO
声は女生徒達の後ろから聞こえた。珍しい銀髪が人垣の向こうに見える。
感情を映さない瞳に見られた直近の少女は心を奪われたように呆然と立ち尽くし、物乞いのようにただ次の言葉を待っていた。
860: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:21:10.97 ID:RQrE+LDDO
至っていつも通りの様子だ。それに釣られたカレンも、特に深い考えが無いまま、
「……別に、いいけど」
861: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/10(火) 00:22:31.52 ID:RQrE+LDDO
人気の無い校舎の端っこ、階段の踊り場に辿り着く。そこでようやくライが振り返り、言った。
「今度は文句ないだろう」
862:名無しNIPPER[saga]
2015/11/10(火) 00:24:43.42 ID:RQrE+LDDO
今回はこの辺で。先ほど気づいたんですが、投下の際に抜けがあったようです。せっかく真面目な話してたのに。
では、ここまで読んで頂いた方、ありがとうございました。
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