過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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24:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:16:47.22 ID:KG8R2sxio
聞かれてもないのに唐突に、何に対してか、誰に対してかもわからない言い訳を吐き始める。
やだ……八幡くん気持ち悪い……。
「……わかったよ、そういうことにしとくよ」
25:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:18:04.87 ID:KG8R2sxio
またそんな風にして、どこまでも優しい由比ヶ浜の言葉すら疑ってしまう。
無条件に信じることのできる他人は、今のところ俺には誰もいない。
そんなことを考えずに済む、わかっていると言えるような他人は、俺の人生に登場するのだろうか。
26:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:19:02.26 ID:KG8R2sxio
由比ヶ浜と話をした翌日に、二人を部室に呼び出した。
俺と由比ヶ浜の方針は決まった。三人の話なのだから、雪ノ下に話すのは早いほうがいい。
27:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:21:06.96 ID:KG8R2sxio
「私たちの、結論?」
「そうだ。お前の意思は変わらないか?」
「変わらないわ。これが最善手よ」
28:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:22:32.16 ID:KG8R2sxio
由比ヶ浜は俺と視線を交わし、合図を寄越す。わかってるよ、ここまではちゃんと考えてたことだから。
意を決して、前もって用意していた答えを伝える。
「おお。わかったよ雪ノ下。お前は生徒会長になれ。それで、奉仕部はもう終わりだ」
29:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:24:55.72 ID:KG8R2sxio
雪ノ下にそんなキャパシティはないし、要領よくやれるほどの器用さがないことも知っている。
だから奉仕部は形を変える必要があるのだ。
「……そう。わかったわ。でも奉仕部がなくなっても、私は……」
30:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:26:01.02 ID:KG8R2sxio
生徒会長に立候補すると俺に伝えた声とは違い、透き通ったような、優しさに溢れた話し方だった。
「え?由比ヶ浜さん、どういう……」
意味がわからないといった様子でわかりやすく狼狽える。そこへさらに俺が言葉を追加して畳み掛けた。
31:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:27:50.47 ID:KG8R2sxio
雪ノ下は俺たちの言っている意味を理解すると、顎に手をあててなにかを思案し始めた。数秒の間考え、ゆっくりと口を開く。
「……どっちから言い出したことなの?」
「ヒッキーだよ。あたしは生徒会長に立候補しようとしてたから……」
32:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:29:11.14 ID:KG8R2sxio
けど、あどげない少女のような微笑をたたえる雪ノ下の姿を見たのは始めてだった。
思わず見とれてしまっていたが、由比ヶ浜が視線を向けたことに気がついたので一瞬で我に返り、慌てて言葉を繋ぐ。
「そ、そうか。最後にもう一度、繰り返しになるが確認させてくれ。お前は生徒会長になっても、それが負担になることはないんだな?」
33:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:30:25.70 ID:KG8R2sxio
俺は俺の直感とか、そういうものをもう少し信じてやってもいいのかもしれない。
「ならいい。今度はまちがってないってことでいいのか」
「そうね……。こういうのも、ありなんじゃないかしら……」
34:名無しNIPPER[sage saga]
2015/06/29(月) 22:32:07.36 ID:KG8R2sxio
俺は結局、この二人を信頼していないことに他ならないのかもしれない。
「比企谷君…………」
名前を呼ばれて顔を上げる。気がつくと雪ノ下が頬を染めながら、すがるような瞳でこちらを見つめていた。
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