過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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552:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:21:19.28 ID:k1AwEidto
パッと見ただけでも彼女が一人浮いているというか、輪から外れているのはよくわかった。

この夏俺がやった、と言っても実際にやったのは葉山たちだが、俺の発案した方法で彼女を取り巻く人間関係を壊してしまったことは忘れられない記憶だ。

問題の解決にはならず、誰もが納得しかねるようなろくでもない案ではあったが、惨めだと言っていた彼女の環境を少しは変えられたかもしれないと思っていた。
以下略



553:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:22:03.54 ID:k1AwEidto


由比ヶ浜と葉山で小学生のお守り兼、飾り作りの作業をやってもらっている間に、俺と一色と雪ノ下でまだ残っていた書き物を終わらせておいた。

これで事前にやるべきことはもう、ほぼなくなった。これ以上は内容を決めてからでないと取りかかることのできないものばかりだ。
以下略



554:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:22:54.41 ID:k1AwEidto


葉山と由比ヶ浜が作業を一段落して休憩に戻ってきたので、二人にそれとなく鶴見留美の様子を聞いてみた。

俺が見たままの状況で間違いはなさそうだったが、葉山が少しだけ気になることを口走った。
以下略



555:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:23:28.35 ID:k1AwEidto
幼い彼女はまだ知らないかもしれないが、社会はそういう人で溢れていることを少し教えてやるとするか。……PTAとかに言われたらえらいことになるな、やっぱやめとこう。

外に出てキョロキョロと辺りを見回すと留美はすぐに見つかった。一人でぽつんと座って飾り作りに没頭しているところに近づき、右手を挙げながら声をかける。

「よう」
以下略



556:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:24:21.25 ID:k1AwEidto
「…………別に、ないけど」

留美は小馬鹿にしくさった口調でそう言うと、また折り紙に視線を固定した。ほーん、葉山、嘘じゃねぇかこの野郎。どういうつもりだ。

「そうかよ」
以下略



557:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:24:56.71 ID:k1AwEidto
言ってから、言葉だけ聞くとかなりまずいアレなやつに聞こえる可能性に気がついた。

心配になったので、誰も聞いてないよなと辺りを見回したが幸い誰もいなかった。

「……暇なの?」
以下略



558:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:25:36.63 ID:k1AwEidto
「だよな。馬鹿みてぇだし、さっさと決めねぇとな。けど今はこれをやる」

留美からの返事はなかった。それからは静かな時間の中、二人で黙々と飾りを作り続けた。

集中力が必要な作業はお手のものだ、一人の世界に入り込むのは得意だからな。そして、考え事をするにはやはりこの中が一番だ。
以下略



559:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:26:48.99 ID:k1AwEidto
俺はこれからも、可能な限り一人でなんでもやろうとするだろう。けれど俺一人の力なんてたかが知れているから、出来ないこともたくさんある。

そのとき、俺に足りないものを持つ人が傍にいてくれたなら、お互い様だと思ってくれて押し付けあえるなら。

俺にはないものを持っている他人だから、眩しくて、憧れて。だから俺はもっと、そいつらのことをわかりたい。知りたい。
以下略



560:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:27:21.19 ID:k1AwEidto
「これで最後か?」

「うん……」

留美は満足げな吐息とともに小さな笑顔を見せた。が、それが恥ずかしかったのかすぐに顔を逸らして押し黙ってしまった。
以下略



561:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/24(月) 23:28:05.93 ID:k1AwEidto
しかし俺は葉山と違って、馴れ馴れしく女子の下の名前を呼び捨てにすることに抵抗がある。が、相手は小学生だ。臆する必要などない……よね?

「…………またな、留美」

「……うん。またね、八幡」
以下略



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