過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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639:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:34:30.19 ID:Sv+8YbD5o
「時間のことだったら今から新しい企画を走らせるより、元の一つに絞ってみんなで協力したほうが効率がいいし、コスパもよくなるんじゃないかな」
そうして議論がまた逆戻りしていく。……駄目か。これじゃ埒が明かねぇな。もういい加減決めようぜ、玉縄。
生徒会メンバーとはいえ、役職もなく生徒会長より間違いなく責任のない、末端の俺ならもう少し言えることもある。
640:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:35:39.21 ID:Sv+8YbD5o
そうだな玉縄。けどな、もう見えてる問題から目を逸らすことはしたくないんだ。
手遅れになってから誰かのせいにするとか、最終的に台無しにしてしまうとか、もうしたくないんだよ、俺は。
「……違うな。失敗したとき誰かのせいにして、全員のせいにして責任を分散させたら楽だからだろ。このまま誰も何も選ばずになあなあで本番を迎えて、みんなが決めたことだからって痛みを分け合う。そんなの、偽物だ」
641:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:36:42.77 ID:Sv+8YbD5o
これでも駄目なのかと、次の矢を放つため頭を働かせていると、これまで発言のなかった人間が静かに口を開いた。
「……もう、そういうのはやめにしないか」
大きい声ではなかったのに、場がしんと静まり返った。声の主はなおも話し続ける。
642:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:38:38.33 ID:Sv+8YbD5o
「責任も取らず、決定的には何も選ばず結果だけ得るなんて、そんな虫のいい話はないよ。そんなことをしたって後には罪悪感しか残らない。あのときああしておけば、こうしておけばってね」
葉山は唇を噛み締めながら目を伏せ、まるで自らがそう後悔しているかのような顔をしていた。
だが、すっと顔をあげて目を見開き、迷いのない表情で前を向いた。
643:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:39:46.23 ID:Sv+8YbD5o
誰もが迂闊に口を開けず静寂が続くと思われたが、最初に話し始めたのは意外な、けれどそうなるかもしれないなとも考えていた人物だった。
「あのー、ちょっと難しそうだしさ、無理に一緒にやるより二回楽しんでもらえるって思った方がよくない?それぞれの学校の個性とか出るしさ」
由比ヶ浜が生まれた空白を埋めるように努めて明るく、未だ呆然としている出席者に水を向ける。
644:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:40:40.83 ID:Sv+8YbD5o
「え、あ、うん?いいん……じゃないかな?」
不意打ちの問いかけに反射的に答えてしまったのか、折本は肯定してしまう。由比ヶ浜はさらに続けて玉縄へと話を振った。
「だよねー。玉縄くん、どう、かな?」
645:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:41:52.14 ID:Sv+8YbD5o
誇っていいと思うぞ。誰もが同じようにできることじゃないんだから。
一一一
646:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:42:55.14 ID:Sv+8YbD5o
葉山は何事もなかったかのようにあっけらかんと言ってのけた。そりゃ仕事しろとは言ったけどよ、お前ならもっと、こう……なんかあるだろ。
「はぁ?お前聞いてなかったのか?あんな言い方したら雪ノ下もこれからやりにくくなんだろうが」
「聞いてるよ、そこら辺はなんとかするさ。君が俺の何を非難してるのか知らないけど、今怒られてるのは比企谷もだからな?」
647:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:45:39.30 ID:Sv+8YbD5o
「はぁ、先が思いやられるわ。…………でも、あなたたちが私を助けようとしてくれたのは、わかってるから。こういうのはよくないと思うけど、その…………ありがとう。少しだけスッとしたわ」
言うと、雪ノ下は悪戯に成功した子供のように、意地悪で無邪気な微笑みを浮かべた。こんな表情はこいつが生徒会長になってから初めて見たような気がする。
「ほ、ほんの少しよ。少しだけよ?」
648:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:46:32.49 ID:Sv+8YbD5o
「いえ、それなら私も一緒に……」
「いいんだ、まずは俺だけで。すぐだから待ってて」
言うや否や、葉山は一人で玉縄のところへ行ってしまった。
649:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/06(日) 16:47:16.52 ID:Sv+8YbD5o
変わらず顔は見えないが悲壮感の漂う口調だと感じ、以前にも見た物悲しげな表情を想像した。
「俺はそうは思わんけどな。お前はそれでも、強いよ。俺はそう思う」
「あなたのことだから、意味のない気休めでは……ないわよね」
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