過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「アンミン」
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5:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:26:39.93 ID:34pzihRt0
「おはよう、鶇。昨日の薬、今日は持ってきてねえだろうな?」
「当たり前だ、屋敷の金庫の中に保管してきた。クロード様はまだ不在だが、戻られ次第引き渡しておく」
翌日の朝、登校して一番最初の会話だった。

「それじゃ一安心だな。よかったぜ、今回はロクでもないことにならなくてよ」
以下略



6:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:27:21.89 ID:34pzihRt0
詳しく聞きかけた瞬間、鶇の携帯電話の着信音が鳴り響いた。

「はい、あ、クロード様ですか?」
「誠士郎か。昨日の電話で一件言い忘れていたことがあった。例の薬だが、一瞬で眠りにつけるというのはその効果の一端でしかない。真に画期的な効果は別にあるのだ」

以下略



7:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:27:53.03 ID:34pzihRt0
さらに翌日。
万里花の不眠の原因が例の薬にあることがわかったことで、楽と鶇は一計を案じることにした。

薬の効果で眠りについた時の寝具――つまり楽の右腕を枕にすること以外で眠れなくなっているのであれば、それを使わせるしかない。
ということで楽は薬を吹きかけられた制服の上着を万里花に貸し出し、それを枕の上に敷いて眠らせることにしたのだった。
以下略



8:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:28:39.98 ID:34pzihRt0
それに万里花は元々身体が弱い。二日続けての不眠ともなれば、体調を崩してしまっても何の不思議もなかった。

「しかし、制服を貸してもダメとなると……」
「もはや一条楽、お、お前の、その、身体を使うしか……」
鶇が顔を真っ赤にしながら言う。
以下略



9:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:29:08.64 ID:34pzihRt0
「……」
「……」

というわけでその日の夜、楽と万里花は楽の自室に敷かれた布団を前に、二人して黙りこくっていた。

以下略



10:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:29:44.54 ID:34pzihRt0
「って、うおお、橘お前それ……」
「こ、これはその、本田が持っていけと言うもので……」

半ば肌が透けているのではないかと思えるほどの薄手の布が、複雑な刺繍とひらひらとしたデザインに彩られて万里花の体を包み込んでいた。
しかし布が薄い分だけ、小柄な体格には不釣り合いな丸みを帯びた万里花の膨らみの輪郭がそっくりそのまま見えてしまっている。
以下略



11:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:30:27.07 ID:34pzihRt0
これまでにも小野寺小咲と同じ部屋に泊まることになったり、千棘と同じ布団に寝る羽目になったことならあった。
ただしその時はどちらも布団を離したり、座布団を持ってきて眠ったりと、朝まで一緒に眠ったわけではない。

だけど、今回は。同じ布団で寝るだけでなく、楽の右腕を万里花の枕に――つまり、朝まで腕枕をして眠らなくてはならないのだ。
布団の中で反対を向いて丸まる二人。
以下略



12:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:31:19.20 ID:34pzihRt0
――楽の身体が自分の背中に密着している。
お風呂で暖まった身体が、まるでそれ以上に熱を持っているかのようだった。

普段、少し抱きついたりからかったりするだけで照れてしまう楽が、こうして一つ布団の中で自分に身体を近づけその腕を差し出してくれている。
眠れなくて弱ってしまっている自分を心配する彼の優しさ。
以下略



13:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:31:55.51 ID:34pzihRt0
楽の腕に頭を預けて、頬をその胸に寄せる。
ドクンドクンと、早鐘のような楽の鼓動が聞こえる。

ドキドキ、してくださっているのですね。

以下略



14:名無しNIPPER
2015/07/08(水) 00:32:32.32 ID:34pzihRt0


カーテンの隙間から、昇ったばかりの太陽の日差しが差し込んでくる。
幸せそうにすやすやと眠る万里花とは対照的に、楽は一睡もすることができなかった。

以下略



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