114:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:53:03.27 ID:PVCiXxqLo
言葉は無かった。
ただ、重い空気とよどんだ臭いは、ここが終点であると雄弁に語っていた。
私も巴マミも、動けない。
115:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:54:22.14 ID:PVCiXxqLo
小さな身体から、めきめきと何かが生えてくる。
白と青の醜悪なモザイクアート。
最初に見えたのは下半身。
人魚の尾びれのあちこちから、魔獣が、まるで廃材にたかる茸のように生えてくる。
116:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:55:10.38 ID:PVCiXxqLo
「……魔獣であることに、間違いはないね。
おそらく、美樹さやかの骸の中に入り込んで、影響を受けたのかな」
私も巴マミも、ただ目の前の光景を咀嚼することに必死で。
117:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:56:12.23 ID:PVCiXxqLo
「もちろん、美樹さやかの魂はあの中にはない。
だけど、魂をなくしたあとの身体に、鋳型が残っていてもおかしくはない」
頭の中で、ピースが少しずつ組み合わさっていく。
118:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:57:20.65 ID:PVCiXxqLo
「彼女が力尽きたのが、魔獣の結界の中だったせいかな。
それにしても、こんな例は過去にも見たことがないけれど」
言葉は出せなかった。
119:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:58:44.40 ID:PVCiXxqLo
「よけろバカ!」
横から聞き覚えのある声と、力を受けて。
120:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:59:25.44 ID:PVCiXxqLo
「後にしろ!
それより、あいつだよ、何なんだ!?」
さらに杏子は被せるように、私たちの声をかき消した。
121:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:59:59.95 ID:PVCiXxqLo
すべての眼が、私を見て。
嗤ったような気がした。
次の瞬間。
122:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 00:01:12.16 ID:mAIq3Puio
避けられない、と思った。
視界に映るそれらすべてが光を集めて、空間を突き破る音が聞こえた。
でも、避けようなんて、もう頭に無かった。
123:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 00:02:10.16 ID:mAIq3Puio
『それは』
『あの子の骸を』
124:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/13(月) 00:03:38.65 ID:mAIq3Puio
立て続けに、頭を殴り付けるように、フレーズが脳裏にフラッシュバックしては消えていく。
衝撃に揺れる私の元に、光が届く。
私の命を狩り取ろうと、迫っている。
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