99:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:37:12.10 ID:PVCiXxqLo
コツン、コツンと、一段ずつ。
私は階段を下りていた。
風の流れは、下からだった。
100:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:38:11.28 ID:PVCiXxqLo
階段を降り切った。
半開きのドアの向こうは、もう地階だ。
取っ手は妙に温かかった。
101:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:39:05.31 ID:PVCiXxqLo
ふら、と、足元が揺れた。
視界が斜めに傾いで、そのまま落ちていく。
その隅っこに、なんとか、その声の主を捉える事が出来た。
102:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:40:08.18 ID:PVCiXxqLo
心臓が止まりかねないくらいには驚いた。
ただでさえ異常に薄気味の悪いこの空間で、神経を張り詰めさせた状態で。
風船に針を指すような一声を浴びたのだから、たまったものではない。
103:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:41:07.04 ID:PVCiXxqLo
「君一人かい?
佐倉杏子も一緒にいるかと思ったんだけれども」
「杏子は……その」
104:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:41:46.40 ID:PVCiXxqLo
それで少しだけ安心してもらえたようだけど。
しばらくして、何で怒らせたの、と聞かれた。
答えづらくて黙っていたら、はあ、と溜息交じりに言われてしまう。
105:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:43:26.84 ID:PVCiXxqLo
巴マミはあたりを改めて見渡しつつ、そう言った。
この病院を全フロア見てきたと。
下手をしたら魔女の結界よりもよほど不気味ではないかと思うくらいのこの空間を。
……お互い、麻痺しているな、と思う。
106:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:44:21.75 ID:PVCiXxqLo
「最初は何ともなかったんだけど。
少し前あたりから、いきなり臭い出して……もう、息をするのも辛いわ」
「どのくらい?」
107:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:45:09.28 ID:PVCiXxqLo
「……そう」
会話を打ち切って、歩きだす。
慌てて、巴マミが付いてくる。
108:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:46:10.82 ID:PVCiXxqLo
上階とは違い、灯りらしい灯りがどこにもない地階。
ほぼ真っ暗に近い世界。
その中を私たち三人が歩いている。
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