109:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:47:21.39 ID:PVCiXxqLo
あっけらかんと答える様子に、強がっている感じは見られない。
やっぱりどこか、慣れというものがあるのだろうか。
ただ、巴マミはそこで言葉を切らなかった。
110:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:48:17.62 ID:PVCiXxqLo
霊安室。
そう書かれたプレートが、ぼんやりと光っていた。
ぽたり。
111:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:50:19.26 ID:PVCiXxqLo
負圧になっていたのか、中から大気が噴き出してきた。
風の源は間違いなくここだった。
強烈な勢いに、足に力を入れて踏ん張らなければ、飛ばされてしまいそうだった。
112:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:50:56.99 ID:PVCiXxqLo
私と巴マミは、足を部屋の中へと進めた。
お互いに言葉をかけることもなく。
ただ直感的に、そうしなければならないと感じていた。
113:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:52:02.94 ID:PVCiXxqLo
「暁美さん」
何かの塊が見えた。
114:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:53:03.27 ID:PVCiXxqLo
言葉は無かった。
ただ、重い空気とよどんだ臭いは、ここが終点であると雄弁に語っていた。
私も巴マミも、動けない。
115:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:54:22.14 ID:PVCiXxqLo
小さな身体から、めきめきと何かが生えてくる。
白と青の醜悪なモザイクアート。
最初に見えたのは下半身。
人魚の尾びれのあちこちから、魔獣が、まるで廃材にたかる茸のように生えてくる。
116:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:55:10.38 ID:PVCiXxqLo
「……魔獣であることに、間違いはないね。
おそらく、美樹さやかの骸の中に入り込んで、影響を受けたのかな」
私も巴マミも、ただ目の前の光景を咀嚼することに必死で。
117:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:56:12.23 ID:PVCiXxqLo
「もちろん、美樹さやかの魂はあの中にはない。
だけど、魂をなくしたあとの身体に、鋳型が残っていてもおかしくはない」
頭の中で、ピースが少しずつ組み合わさっていく。
118:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:57:20.65 ID:PVCiXxqLo
「彼女が力尽きたのが、魔獣の結界の中だったせいかな。
それにしても、こんな例は過去にも見たことがないけれど」
言葉は出せなかった。
119:名無しNIPPER[sage saga]
2015/07/12(日) 23:58:44.40 ID:PVCiXxqLo
「よけろバカ!」
横から聞き覚えのある声と、力を受けて。
190Res/93.80 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。