過去ログ - 咲「これが私の麻雀だよ」
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6:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:39:32.05 ID:V8gzDOoiO

 咲は目が覚めてから、シャワーを浴び、頭を切り替えてからどうするか考えていた。
 学校は夏期休暇中でない。父は仕事でいないし、彼女には気軽に連絡を取り合い遊ぶような友人もいなかった。
 内向的な性格で、だれかといることより一人でいることを好んだ。
 一人でいる時は本を読むことが多いが、しかし彼女の時間の過ごし方はそれだけではない。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:40:34.61 ID:V8gzDOoiO

 見慣れた道をいくと、向こう側から見知った顔が近づいてきた。
 自転車にまたがったその人物は、咲のすぐ目の前で止まると身を乗り出して咲へと笑いかけた。

 「よう宮永!」
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:41:57.22 ID:V8gzDOoiO

咲「こんにちは、須賀君」

 須賀京太郎。咲と同じ学校、同じクラスの少年。
 咲とは正反対の性格の彼は、だれにでも砕けた接し方で、咲に対して距離を作らない稀有な存在だった。
以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:43:05.03 ID:V8gzDOoiO

京太郎「あー、そっか。残念! まぁ思い返せば集まったのは野郎ばっかだし、宮永だってむさ苦しいなかにいたくはねーよな」

 少年は屈託のない笑顔でそう言うと、使い込まれているであろうマウンテンバイクに跨り、ペダルに足をかけた。それはもう行くという意思表示であり、咲は正しくそれを汲み取って安堵した。

以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:44:05.35 ID:V8gzDOoiO

 すこしの間足を止めてしまったが、ようやく咲は目的地へと辿り着いた。
 そこで、咲は早くも踵を返して来た道を戻り家へ籠もりたい気分になっていた。

 雀荘。そこはだれでも麻雀を打つことができる公共の場。
以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:44:53.97 ID:V8gzDOoiO

 「きたか、咲! さぁ、始めよう、げにげにおかしき狂宴を!」

 一見して小学生低学年ほどにも思える体躯の少女。
 頭から伸びる、かわいらしいリボンの耳。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:46:29.18 ID:V8gzDOoiO

 意気軒昂の衣とは反対に、咲は冷めた目でその様を見つめている。

咲「それ、前も言ってたけど、天江さんの全力ってそんな勝率高くないよね」

以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:47:04.60 ID:V8gzDOoiO

 対局が始まってしまえば、和やかな雰囲気はどこぞへ吹き飛んでしまう。
 それだけ二人の間には半荘という勝負に対する真剣さが現れていた。

 ふたりと共に卓を囲むのは面識のない年配の男性二名。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:47:59.00 ID:V8gzDOoiO

 いくら理論的な打ち筋が確立されていようと、麻雀は運の要素も強い。
 配牌などは積み込みやすり替えなどの所謂イカサマを用いない限り、理論上では完全な運である。
 流れや勢いなど、その場限りの要素で多少の良し悪しがあったとしても、基本的には対局者全員が対等なはずなのである。

以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:50:00.78 ID:V8gzDOoiO

衣(できれば咲から取りたかったが。…ここで咲にツモ巡を回せば、同じ轍を踏むだけ。その先に待つのは敗衄の辛酸だ)

 強者の布く圧政。抜け出すことの叶わない一方的なルール。それは『支配』と呼ばれるもの。

以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 03:51:04.06 ID:V8gzDOoiO
 
 衣の親でなくば支配が及ばないわけではない。実際、男性たちの手はやはり渋かった。

咲「カン」

以下略



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