207: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:55:08.71 ID:s8phhYh5O
この年頃の者にとって、一週間の集中と云うものは意外と大きい。
実際、持久力や筋力が、わずかではあるが、実感できるくらいには伸びていた。
朝、通学電車へ乗り遅れそうになって駅の階段をダッシュしても息切れしにくくなったし、
208: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:55:49.09 ID:s8phhYh5O
ダンスとは、見た目以上に過酷な運動である。
数十キロある人間の体躯を、或る刻は飛び跳ねさせ、また或る刻は不安定な姿勢のまま支える。
209: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:56:20.32 ID:s8phhYh5O
「はいそこで脚を引きながら腕をピタっと止めます! 未央ちゃんは力を入れ過ぎて反動が大きいですよ!
凛ちゃんは逆に流れちゃってて足許も疎かです!」
明が全体を眺めて指示を出し、慶は凛の身体に手を添えて「右脚はここに持って来て」とガイドする。
210: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:56:47.92 ID:s8phhYh5O
凛は驚愕した。
自分はもう腕や脚に力を入れることすらままならないのに。
肺の求めに応じて息を大きく吸い込むことしか出来ないのに。
211: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:57:26.01 ID:s8phhYh5O
「はい! じゃあ少し休憩しましょう」
数十分ほどののち、明がパン、と手を叩いて云う。
212: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:58:02.04 ID:s8phhYh5O
「よ、予想、以上の……運動量、だね、これ……」
酸素を多く求める呼吸の合間に、短く切った言葉で卯月に答えた。
明も傍に寄り、
213: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:58:37.08 ID:s8phhYh5O
ぷはぁ、とタオルから顔を離すと、パタパタと云うスリッパの音を纏わせて、社長がゆっくり歩いてきた。
「大丈夫かね?」
「はい、……なんとか」
214: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:59:04.22 ID:s8phhYh5O
「忍耐と無謀は別物だよ」
緩やかに社長は諭すが、凛は首を横に数度振り、
「いえ、まだいけます――」
215: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 02:59:44.18 ID:s8phhYh5O
――
数時間に亘る初レッスンをこなしたあと、凛はボロ雑巾のようになっていた。
216: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 03:00:13.00 ID:s8phhYh5O
「……いいんですか?」
Pが小声で社長に問うた時、
「勿論、これ以上やっては身体を壊すと云うところまでいきそうだったら、止めさせるよ」
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