362: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:01:59.40 ID:s8phhYh5O
今しがたまであまり乗り気のしない様子を見せていたが、実際に身体を動かし始めると意見が変化する。
「あ、なんだろ。意外と……楽しいかも。これ」
「身体を動かすとドーパミンが出るからな。一回やり始めちまえばこっちのもんさ」
363: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:02:30.75 ID:s8phhYh5O
一時間ほど集中して訓練を繰り返したのち、再度曲に合わせて手を叩かせてみると。
「うわ……すごい」
「あぁ! こりゃ予想以上の成果だ」
364: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:03:29.37 ID:s8phhYh5O
――
それからの凛は、とかくやるべきことが多かった。
365: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:03:59.80 ID:s8phhYh5O
放課のチャイムが鳴った途端に鞄へ荷物を詰める凛に、あづさが近づく。
「ねえ凛、なんか今日グワンデュオでセールやってるみたいなんだけど――って、その様子じゃ行けないわね」
凛をショッピングに誘おうとした彼女は、言い切る前に無理だと悟ったらしい。
366: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:04:30.19 ID:s8phhYh5O
片目を瞑って謝る凛に、二人は不思議そうな表情だ。
「お前んとこの花屋、そんなにてんやわんやしてんのか?」
「この時期、お花屋さんって特に繁忙期じゃないわよね」
367: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:04:59.53 ID:s8phhYh5O
「んなッ!? お前がアイドルゥゥう!?」
「ちょっ――声が大きいって!」
368: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:05:29.60 ID:s8phhYh5O
「ねえ凛、もしかして五月あたりから急に付き合いが悪くなったのって――」
「そう、アイドルになるためのレッスンがみっちりあったから……」
「んもう、それならそうと云ってくれればよかったのに」
369: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:05:59.89 ID:s8phhYh5O
「まだ駆け出しも駆け出し、新人ですらない状態だけどね。ようやくステージに立てるんだ」
「なるほどね、その追い込みなら確かに今週は遊んでるヒマないわね。じゃあ頑張ってきなさいな」
「うん、行ってくるよ。……って、あぁっ!」
370: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:06:35.49 ID:s8phhYh5O
「いいわよ。わたしたちが代わりにやっとくから、凛はさっさと行きなさい。時間が惜しいんでしょ」
「げぇっ! 『わたしたち』って、あたしもかよ!?」
あづさがひらひらと手を振って、助け舟を出した。
371: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:07:17.67 ID:s8phhYh5O
階段を抜け、玄関を抜け、校門を抜け、橋脚そびえる大通りへ。
夏至の近い、高く強く照り付ける陽を、モノレールが反射して輝く。
時折モーターと摩擦の音をまとわせながら滑ってゆくそれを横目に、凛はイヤホンをつけて駅までの道を駆けた。
372: ◆SHIBURINzgLf[saga]
2015/08/10(月) 05:07:49.01 ID:s8phhYh5O
今、凛のアイフォーンには、膨大なミニマルテクノが詰め込まれている。
否、ミニマルテクノ“しか”入っていないと云うべきだろう。
先日のリズムトレーニングの際、Pが膨大なミニマルテクノのCDを用意していた。
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