過去ログ - Steins;Gate「二律背反のライデマイスター」
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:14:58.40 ID:iuS/I4U4o
「ああ、実感としては乏しいがそれだけは確実に言える。俺には2010年8月13日までの記憶は存在するのだ……。タイムリープマシンが完成し、開発評議会を行っている、その時点までの記憶がな。その事実を前提にすれば、お前の質問にはこう答えることが出来る。お前や俺は2010年の秋葉に存在した。にも関わらず現在の西暦は──」
ごくり、と喉が鳴った。呼吸が荒くなる。意識の外から岡部倫太郎の声が届いているが、薄い壁を隔てているように上手く聞き取ることができない。
「──1975年」
以下略
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:17:23.51 ID:iuS/I4U4o
家具も家電もほとんどない、ガランとした部屋で布団に包まれ、天井を見つめる。
あの後、岡部倫太郎は自分の知っている限りのあたしの情報を話してくれた。
2010年の秋葉で、あたしは彼の設立した未来ガジェット研究所っていう組織に身を寄せていたこと。
所属研究員──ラボメンは8人いて、あたしはその最後のナンバーをもらっていたこと。
以下略
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:19:31.65 ID:iuS/I4U4o
「む、なんだ。眠くなったのか?」
「ちょ、ちょっとね!」
「く、貴様っ……! この狂気のマッドサイエンティストの論説を聞いて眠気を催すとは──というか、赤くないか? 顔……」
以下略
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:22:13.80 ID:iuS/I4U4o
一点の曇りもない空の真ん中で、あたしは湖に揺蕩う小舟のように浮かんでいた。見ていて惚れ惚れするような景色なはずなのにあたしはすぐに嫌な予感を胸中に抱いた。
そしてあたりを見回すと案の定、大きい背中をこちらに向けた父さんと長い髪をなびかせて佇む母さん。
以下略
133
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:23:06.85 ID:iuS/I4U4o
気づけば岡部倫太郎が慌てた様子であたしの肩を揺らしていた。
「鈴羽! 大丈夫か!」
以下略
134
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:26:55.56 ID:iuS/I4U4o
3日後、検査を終え病院から牧瀬紅莉栖がこの部屋へと帰還した。
といっても検査自体は仮病によるものだから問題なく終わったのだけど、同室の患者がいなくなったことによる事情聴取がしつこくて中々戻れなかった、と本人は言っていた。
以下略
135
:
◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:28:50.87 ID:iuS/I4U4o
「はいはーい、唐揚げ弁当安いよ〜。美味しいよ〜。そこのおっちゃんおひとつどーお?」
あたしは拠点の付近に立地していた小ぢんまりとした弁当屋でバイトをしていた。夕食時の夕暮れを往く人たちに自慢の弁当を勧める。「じゃあ1つもらおうか」というお客さん相手に笑顔で弁当を手渡した。
「あいよ、一個170円ね。はい、サンキュー! またお待ちしてまーす」
以下略
136
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◆gzM5cp9IaQ
[saga]
2015/10/04(日) 18:30:20.02 ID:iuS/I4U4o
牧瀬紅莉栖が大きくため息をついた。中々フラストレーションがたまっているように思える。
「くっ、専門分野じゃないとはいえ、大きなアドバンテージを持っていながらこの状況……株、奥が深いわね……」
以下略
137
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:32:54.78 ID:iuS/I4U4o
狭苦しい浴室で肌を打つシャワーを止めた。あたしは曇った鏡を手でこすり、中に映しだされたもう1人の自分に釘付けになる。肩にかかるくらいの髪の毛は緩やかな波を打ってたくさんの水粒を絡ませながら水を滴らせている。自分の顔をまじまじと見つめてみる。年齢は18歳だという。
ふと、鏡から視線を移して自らの裸体に向ける。
肌から滑り落ちるいくつもの雫は浴槽を打ち鳴らしている。そっと腹部に浮かんだ水滴を指でなぞり、滑らせる。行き着いた先は──
以下略
138
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:35:28.25 ID:iuS/I4U4o
「鈴羽……? どうしたの?」
牧瀬紅莉栖だった。あたしが長いことシャワーを浴びてるもんだから不思議に思って声をかけに来たのかもしれない。
「なっ、なんでも……ないよ……」
以下略
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◆gzM5cp9IaQ
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2015/10/04(日) 18:36:54.11 ID:iuS/I4U4o
そう言ってバスタオルを渡してくる。数秒の間が空いてそのタオルを受け取るとあたしはたまらず尋ねていた。
「なにも……言わないの……?」
そんな問に対して彼女は特に同情するでもなく、悪びれる様子でもなく。
以下略
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